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マンション管理士の独り言…868

マンション管理士の独り言・・・868

「施工不良マンション」

築約12年、20階建て高層マンション「アパタワーズ神戸三宮」管理組合が、売主や施工会社等3社を相手取って2億4千万円の損害賠償請求訴訟を起こしました。
このマンションでは、平成15年3月に14階バルコニー外壁に貼っていたタイルが幅約1,5mにわたって剥落し4階住戸のバルコニーに落ちるという事故が発生しました。
その重さ約20Kです。
外壁タイル補修に管理組合は、修繕積立金だけでは不足し、更に1億円の借り入れを起こしました。

この事故の後、管理組合では第3者の設計士に依頼し劣化診断を実施しました。
その結果、約15%のタイルに浮きが見られ、一番陽の当たる南側では約35%にまで及んだという事です。
築12年ならばタイルの浮きは、3~5%というのが一般的ですが、その3倍もの浮きが見られるのは施工不良が原因だとして訴訟を提起したものです。これに対し売り主、施工会社サイドは、経年劣化によるものだとして争う姿勢を見せています。

また、購入者は売り主との間で不動産売買の通例で瑕疵担保特約を引き渡し後2年という契約を結んでいましたが、管理組合側は「外壁タイルの剥落や浮きは、完成後相当期間経過しないと発覚しない」と指摘し、「2年で免責というのは買主から売主に対しての責任追及の機会を奪うものだ」としています。

論点の主なものは2つあります。まずは施工不良なのか、或いは経年劣化なのか?ですが、管理組合側が第3者の設計士の協力を仰ぎながら、どれだけ施工不良を証明する証拠を揃えられるかどうかです。すでに建ち上がったものの施工不良を証明するのは至難の業と言えます。
更には2年の瑕疵担保期間が合理性があるのか?ですが、これもかなり難しいと考えられます。では何年が適当なのか?民法の1年間の瑕疵期間を宅建業法という民法に対しての特別法で引き渡し後2年ということを定めていることとの整合性は?など認められるにはかなり高いハードルが聳え立ちます。

消費者保護の立場からこの2年の瑕疵期間を補完するものとして「住宅の品質確保に関する法律」(略称:品確法)があり、ここでは雨水の侵入を妨げる部位に対しては10年の瑕疵期間と定められていますが、この規定は外壁には適用されても外壁に貼っているタイルには該当しないという取り扱いとなっています。抜け道いっぱいのザル法です。
そして何より懸念されるのが管理組合内部での合意形成が大変です。組合員同士での摩擦が生じます。
「訴訟なんて嫌だ」って方も相当数いますし、「提訴して勝てるならばやってもいいが、負ければ弁護士費用がマル損だ」「負けたときの責任は訴訟を主導した役員さんが負担するべきだ」「管理組合としての提訴には参加しない。個人で行う」って人まで現れます。
決して一枚岩とはなりません。

仮に売主サイドが誠意ある対応を見せて、賠償額の提示があったとしても、「それでいいよ」と組合員全員が言ってくれればいいのですが、「そんな弱腰でどうする。徹底的にやるべきだ」なんて組合員も必ず出てきます。
そのうちに売主サイドから、「管理組合さんが当事者なんだから、皆さんの意見をまとめてくださいよ」なんて言われちゃいます。
身をもって経験しています。

管理組合内部の結束を維持できるかどうかがポイントです。

残念ながら、北九州でも今後増えそうな予感がします・・・。



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