マンション管理士の独り言・・・1345

マンション管理士の独り言・・・1345

「誌上セミナー・・・どっからどこまで」

分譲マンションは専有部分とそれ以外の共用部分とに分かれます。

ではどこからどこまでが専有部分で、どこからが共用部分なのかについてのお話です。

先ずは、平面的に見てみましょう。

ざっくりと言えば、住戸の玄関ドアを開けて目に入る空間が専有部分です。

改めて言うまでもないのですが専有部分とは、“その人のモノの部分”で所有権の及ぶ範囲のことです。

専有部分は所有者が自由に“使用・収益・処分”できる範囲を指します。

玄関ドアを開けるとクロスからクロスは見えますが、クロスの内側にある隣戸との境のコンクリートの壁(界壁)そのものは見えません。

クロスはその人のモノですが、見えないコンクリートの壁は共用部分です。

マンション購入時にはパンフレットには4LDK90㎡と記載されていても、実際に引き渡しを受け登記が行われると、84㎡くらいに減っています。

パンフレットに記載している面積は隣戸との界壁の中心から、反対側の隣戸との界壁の中心までで求められています(壁芯面積)。

これに対して登記簿では、クロスからクロスまでの内法面積で算出されていますので、面積が少し減少しちゃうのです。

何故こうなるかというと、壁芯面積で登記しちゃうと、マンション構造体である壁の半分までが、その人のモノになっちゃいます。これでは困るのです。

その人が、「この壁の中心までは自分のモノなので半分削り取る」なんて言い出せないように内法面積での登記となっているのです。

一戸建てや建売住宅の場合は、パンフレット記載の面積と登記面積とは同じです。

壁芯面積で登記して、構造体である壁をその人のモノにしたって困らないからです。

「壁を削り取る」って言い出しても、「どうぞどうぞ、お好きに」です。

クロスからクロスまでが専有部分なので玄関ドアそのものやサッシャやバルコニーは共用部分となり、専用使用部分という扱いとなるっていうのは前回つぶやいています。

では、断面的にはどこからどこまでが専有部分かっていうと、最近のマンションは2重床2重天井という仕上げがほとんどですので、その前提でつぶやきます。

2重床2重天井というのは床コンクリートの上に防振ゴムが施された受け金物(スタッド)を置きその上にコルクを圧縮したようなパーティクルボード20mm、更にその上に12mmの床フロアー材を敷いた床を指します。

コンクリートの床の上に更に床を自立させるので2重床または置床などの言い方をします。

天井も同じような造りになっています。天井コンクリートに吊り金物を取り付けそこに9,5mmの石膏ボードを貼りクロス仕上げとします。

コンクリート天井に更に石膏ボードで天井を吊りますので、2重天井或いは吊り天井などと呼びます。

専有部分は、床コンクリートの上の端から天井コンクリートの下の端までとなります。

従って、床フロアー材は勿論その下の配管も床コンクリートの上に設備されていますので専有部分となります。

同じように天井に関しては石膏ボードやダウンライト、各種配線も天井コンクリートの下に設備されていますので専有部分という扱いとなります。

仮に床コンクリートと床フロアー材の間に設備されている配管から漏水が発生した時は、その配管は床コンクリートの上に設備されていますから専有部分とであり、その結果住戸所有者が保険上加害者となってしまいます。

その場合の対応は、気が向けば次回に