マンション管理士の独り言・・・1398

マンション管理士の独り言・・・1398

「第3者管理方式」

分譲マンションには2つの老いがあると言われています。

1つは建物そのものの“老い”。2つ目は住んでいる人の“老い”です。つぶやき主はこれに古くなって現在のマンション環境に合わなくなってきている管理規約の“老い”もあると思っています。

その中で住んでいる人の“老い”です。直近(平成30年)のマンション総合調査では、「世帯主が60歳代以上」が49,2%を占めています。本年か来年あたりに出される統計ではこの値はもっと増えていることでしょう。

更に賃貸率も年々上がってきており、その結果、役員の成り手不足という状況に直面している管理組合さんが増えています。

定年制を設けたい、というご相談は最近顕著に増えてきました。

もともとマンション管理組合活動は民法や区分所有法、さらには管理規約を理解把握しておかなければならないし、それ以外にも建築や設備についても一定以上の知識も必要です。

マンションの全てに関しかなり高度な専門性が求められます。

これらに馴染みの薄い方がくじ引きでいきなり理事長では、“ちょっと酷かな”って思うこともしばしばです。

そこで国交省では、第3者管理方式を提案・推奨しています。マンション区分所有者でない第3者の専門家を管理組合活動に参画させようという狙いです。

国交省では3つのパターンを想定奨励しています。

①外部専門家活用型。 この方式は従来通り理事会は存在し、外部の専門家を理事や理事長もしくは監事という立場で活用しようとするものです。

②外部専門家を理事長就任型  これは外部専門家を区分所有法上の管理者(=理事長)に就任させ理事会は監事的立場で外部管理者を監視するパターンです。

③外部管理者総会監視型  外部専門家を区分所有法上の管理者(=理事長)とするところまでは②と同じですが、このパターンでは理事会を設けず総会が外部管理者を監視しようというものであり総会の役割は重要になってきます。また総会以外に外部監査を設けることも推奨しています。

国交省が想定している専門家は、マンション管理士・弁護士・建築士です。

つぶやき主も国交省の提案よりも早く、①外部専門家活用型 ②外部専門家を理事長就任型でお仕事をお請けしています。 外部専門家からしても理事会がないというのは、責任が重すぎるし、また組合さんの意思がどこにあるのか掴みにくいという弊害があります。

マンションを購入すれば共用部分と敷地に関し他の区分所有者と共有関係になり、それら部分の維持管理を行う主体として管理組合が設立され、共有者として法律上当然に管理組合員となります。

この自分の持ち分が存在する共有物(共用部分、敷地)の維持管理を行うのは結局は自分たちです。それを外部専門家に委ねるのであれば、適正に行われているかをしっかりウォッチし監査するスキームを作っておかなければなりません。理事会もしくは外部監査が必須です。

最近、新築時に第3者管理方式と称し管理会社が理事長に就任し、理事会も組織せず、その管理会社の系列企業が監査を行うという管理方法を進めているところがあります。

利益相反にならないと考えているようです。

購入者の方でも、“面倒くさい理事にならなくて良い”なんて思っていることでしょう。

そんな管理会社にも購入者にも呆れています。