マンション管理士の独り言・・・番外編

「骨髄ドナー登録のススメ」

先日知り合いの不動産屋さんから朝一番で電話があり、「ちょっと相談に乗ってほしい」と深刻な声です。
しばらくして奥さんとご一緒に事務所へ来られました。
「嫁いだ娘の産後の日だちが悪いので、詳しく調べてもらったら、血液の病気で、骨髄提供を受けた方がいいと医者に勧められました。井上さんは骨髄提供したことがあると聞いたので、詳しい話を聞かせて下さい。」とのことです。

つぶやき主が提供したのはもう5年近く前だし、しかも提供する側だったので、“あまり役に立ちませんよ”と断って、主に体験したことや知っている事をお話ししました。
今の今まで知りませんでしたが、提供を受ける側にはかなりの費用が発生するとのことです。
提供する側は、報酬一切なしで病室のテレビ料金でさえ自腹を切ったほどです。
そしてその不動産屋さんからは、ドナー登録者が少ないので一人でも多くの人にドナーになってもらうよう頼んでいるが、皆さんあまり登録してくれないそうです。
その理由は、「ドナー登録する前の検査に時間がかかり、かなり痛いんでしょ」なんていうのがあるそうです。

誤った認識があるようで、特別に痛くも何ともありません。
普通の献血です。献血の際に「ドナー登録します」っていえば完了です。
その後ひょっとしたら「適合しました」って連絡があるかもしれません。

その適合者の90%近くは、提供を拒否してしまうらしいです。
適合者となったらコ―ディネーターの方が、提供することの危険をこと細かに説明します。普通の人はこのリスクを聞くだけでビビってしまうような説明です。
“そんなに正直に話したら、皆断っちゃうよ”と感じたほどです。
さらに本人の他、身内の人にも一緒に聞いてもらって、それぞれの方の承諾も必要です。

つぶやき主の場合も、本人(=つぶやき主)はやる気満々なのに、母親から考え直すよう、涙ながらに言われました。
つぶやき主は過去の悪行数々でしたので、少しくらいイイことしないと間違いなく閻魔様行きでしたので、母親にも納得してもらいました。

提供者と決定してからは、断酒です。
つぶやき主はお酒を毎晩飲みますので、肝臓が弱っており良い数値が出ません。
基準値が出るまで2ヶ月近く断酒した記憶があります。

そして何とか全ての数値が基準内に収まったところで、いよいよ提供手術です。
産業医科大学で施術したのですが、提供日の前夜には、担当部署のお医者さんが全員そろって病室を訪問してきました。
そして勇気を褒められました。
“軽いノリなのに、そんな大げさな”と思いましたが、ちょっと感動的でした。

翌日スッポンポンにさせられてキャスターで運ばれて手術室の電気は明るいな、と思って目が覚めたら、もう終わっていました。恐るべし全身麻酔!!!
それから、全身のだるさが取れた2日後に退院です。
つぶやき主は700cc提供したらしいです。

今は何事もなく、普段通りの生活です。
そして術後すぐにドナー登録しました。
日本では生涯2回まで提供できるようです。
何でも2回提供者が日本全国でもうすでに700人いるそうです。
そして年齢リミットは55歳です。先を越されたって感じですね。

このコーディネーターをやりませんか?っていうお誘いが来ています。
1回や2回骨髄を提供したくらいでは、悪行の数々はデリートできませんが、その上にコーディネーターが来れば閻魔さまも少しは鉛筆舐めてくれるかな、なんて前向きに考えています。

なぜ、骨髄提供を2回もしようとするのでしょうか?
あまり上手く言えませんが、とても充実感があります。
今まで感じたことのないような充実感・達成感です。
提供した彼がその後どうなったかはわかりません。
しかし、彼のためではなく、自分のため、存在意義のために提供したいと思います。
皆さんにもおススメです。骨髄ドナー登録しましょう。気分爽快っすよ。

知人の不動産屋さんの娘さんに早く元気になってもらいたいです。