マンション管理士の独り言・・・1018

マンション管理士の独り言・・・1018

「クローズアップ現代+」

5月30日のクローズアップ現代+では、「都会のマンションに変化、あなたはどうする?」マンションに関するさまざまな問題提起を行っていました。
数名のマンション管理士が出演していましたが、皆さんご年配の方ばかりで・・・。
それは横に置いといて。

主として首都圏マンションを中心に事例紹介されていましたが、トラブルになりそうな種を内包しているってことでは、北九州は首都圏の比ではありません。
地域特性で見れば、政令指定都市の中では断トツで高齢化が進んでいます。
さらに小規模マンションが多く、そんなマンションは管理会社に委託するような費用は捻出できないため自主管理です。小規模マンションで自主管理が多いというのが北九州マンションの特性です。
管理会社へ管理を委託する委託管理率は全国平均では92%ですが、北九州はそれをかなり下回っているというのが実感です。
マンションの管理に関する方が、福岡から来られると、決まって「北九州のマンションはすすけてますね」って言われちゃいます。
要するに、“掃除が行き届いてなく、また補修も適時適切に行われていないため汚いですね”です。

また、売主の販売方法にも多くの問題があります。
他のエリアでは見られない分譲駐車場という悪しき販売方法。さらに、未販売住戸の管理費や修繕積立金を負担しない売主さんがほとんどです。
さらにさらに、分譲当初の意図的に低額な修繕積立金です。
分譲駐車場なので、毎月の駐車料金が管理組合に入ってきません。このことは修繕積立金不足に直結します。
未販売住戸の管理費や修繕積立金を負担しないというのも、管理組合の財務状態を圧迫します。
低額な修繕積立金は将来の積立金の値上げに結びつきます。小倉北区のマンションでは25年後には、当初設定額の6.4倍に値上がりする計画になっています。
もっと言えば、組合員の関心のなさや知識不足をいいことに、勝手にピロティ部分を店舗にしたり、敷地の一部を売り払ってしまってる売主さんもあるから驚きです。
その後始末で、つぶやき主がどんなに大変な目に逢っているのか、わかってんの?
かくして適時適切な大規模修繕工事が行われず、その結果、「すすけてる」ってなります。

番組でも取り上げられていましたが、分譲マンションでは今後相続放棄者がたくさん出ることが予想されます。
戸建てと違い分譲マンションは相続開始されれば、相続人(包括承継人)には管理費・修繕積立金の支払い義務が生じます。
貸そうとしても借り手がいない、売ろうとしても売れない、そんなマンションを相続しても管理費・修繕積立金を負担するばかりで何のメリットもない。放棄しちゃえ、です。

「すすけた」マンションにしないようにしなくちゃ、ですが、高齢化、小規模自主管理、アコギな販売方法、などが重くのしかかる、3重苦なのが北九州のマンション事情です。
北九州市の偉い人はわかってんのかな?