マンション管理士の独り言・・・1022

マンション管理士の独り言・・・1022

「今までのようにはいかない」

堰切ったように、今までのウップンを晴らすかのように、管理会社さんの管理委託料値上げ要請が出てきています。
福岡県の最低賃金が引き上げされ、それに伴い清掃代とか管理員さんの人件費も値上げされます。その値上げ分を含めての管理委託料金の引き上げ要請です。
福岡県の最低賃金は時間当たり、2016年は765円。2017年は789円。2018年は814円に引き上げられました。将来的には1000円オーバーを目指しているようです。
最低賃金引き上げ分については、どこの管理組合さんも“仕方ないな”と言いながら値上げ要請に応じていますが、この機に乗じての値上げ要請については断固NO!です。
このNO!に対しての管理会社さんの反応が今までとは違ってきています。
“値上げ要請に応じていただけないのでしたら、管理委託契約は更新しません”と管理会社さんの方から言われるケースが続出しています。
昨年は5つの管理組合さんの委託契約を断った、という管理会社さんも現れています。

断られるのは、30戸未満の小規模マンションです。
管理会社さんからすると30戸でも200戸でもかかる手間暇は基本的には一緒です。
30戸でも200戸でも理事会や総会頻度は同じです。
30戸の管理組合さんには年に3度しか理事会に出席しないが200戸になると毎月出席している、なんてあり得ませんし出来ません。
極端な言い方ですが、総会議案書作成の手間などを除けば30戸でも200戸でもかかる労力は一緒ですが管理委託料に関しては雲泥の差があります。
また、口うるさい組合員が30戸ならば3人で200戸ならば20人なんていうこともありません。10戸のマンションでも口うるさい人はいますし、200戸でもほんの数人しかいないってのもありです。

小規模マンションの管理受託を断るというのは3年くらい前から首都圏では見られた現象でしたが、最近は北九州でも見られるようになりました。
では、管理委託料値上げを飲めば管理委託契約を更新するのかって言えば、そうも言いきれません。
管理人さんのなり手不足です。
以前ならば定年退職後の第2の職場として管理人さんを目指す人も多く、つぶやき主も公的な中高年就職支援制度の一環として「マンション管理人養成講座」の講師で随分とお声が掛ったものですが、最近は講座さえ開かれません。
建設業界へ流れているそうです。
管理会社さんも下手に管理人さんを切れない状況が随分と前から続いています。

共用部保険に関しても以前とは様相が違ってきました。保険会社担当者を並べ、“どこの保険会社に加入してやろうか”って大名気分に浸る理事長さんもいましたが、今では遠い昔の話です。
ほとんどの管理組合さんは共用部保険は5年の掛け捨てでしょうが、5年後には必ず継続できる時代ではなくなってきています。
マンション共用部保険だけでみると、どこの保険会社さんも赤字です。特に築20年を超えたマンションの更新については、免責金額を上げられたり、個人賠償特約を外されたりとかいう事例が増えてきています。
マンション管理組合を取り巻く環境は厳しいほうに傾きつつあります。アンテナを張り巡らせ快適なマンションライフを維持しなくちゃです。