マンション管理士の独り言・・・1030

マンション管理士の独り言・・・1030

「大規模修繕工事コーディネート」

管理会社さんからのお声がけで大規模修繕工事のコーディネートを行っています。
建築士ではないので、設計や監理を行うことは法律的にも出来ませんし、それほどの能力もありません。
ただし大規模修繕工事に関しては、顧問としてまた設計士さんとコンビを組んで何度もお世話していますので、経験はタップリです。
理事会あるいは修繕委員会として次に何をしなければならないのか?何を決定しなければならないのか?どこまで理事会で決めていいのか?総会に諮るべきものは何か?追加工事の取り扱いや発注はどうするのか?などは頭の中に入っています。

大規模修繕工事は、そこに人が住んでいる状態で行われ、しかも組合員がセッセと積み立てた修繕積立金から支出して行われますので、合意形成のためのキチンとしたプロセスを経なければなりません。
その一方で、合意形成のために何度も何度も総会を開催するのは現実的ではありませんし、1回総会を開催するだけで多くの時間とエネルギーが費やされます。
また、現場においてもいちいち総会で決めるとなれば、手待ち、手待ちで工事が一向に進みませんし、職人さんも逃げて行ってしまいます。
全体のスケジュールを把握・俯瞰し次に管理組合として何を決めなければならないか?どのタイミングでどんなアンケートが必要か?検査はいつ行われるのか?など管理組合側として現場監督(=コーディネーター)が必要になります。

例えば外壁タイルの張替えだけ見ても、新たに焼くのか?既存品の中から似たようなものを選ぶのか?勝手に理事会などで決定していいのか?
色具合に関して現在と同じようなものとするのか?全く新しい色を選定するのか?
仮にグレイであっても沢山の種類のグレイがあります。
組合員へ選んでもらうとして候補を絞り込むのか?どのような方法でアンケートをとるのか?など沢山の問題をクリアしなければなりません。
しかも、時間をかけるわけにはいきません。現場で手待ちが起こらないように、先手先手を打って段取りしなくてはなりません。

この他、エアコン室外機の取り外し費用はどうするのか?バルコニーに置いている物置や植栽鉢の一時的な移動はどうするのか?バルコニーが使えない間の乾燥機の数や設置場所、使用方法など細々とした問題が発生します。
現場サイドとしても満足のいく大規模修繕工事とするためには、組合員の意向を確認しながら進めていく必要がありますので、最低でも2週間に1度は現場定例会議を開催してほしいというのが本音です。
そして定例会議にはいつも参加できる人が必要です。参加したりしなかったりでは、経緯をその方に説明するだけで時間がかかってしまいます。

いくら責任施工といっても、追加工事を実施するのかや色柄などに関しては、管理組合さんが工事に支障が出ないタイミングで決めてよ、です。
責任施工だからといって現場に丸投げでは、満足のいく大規模修繕工事とはなりません。
大規模修繕工事コーディネートは、必要ですよ。