マンション管理士の独り言・・・1031

マンション管理士の独り言・・・1031

「ブーメラン現象」

管理会社〇社のリプレイスが止まりません。リプレイスするほうではなくて他社からの攻勢でリプレイスされているのです。〇社は地場の売主さん系列の管理会社です。
リプレイスされる大きな理由は親会社の精度の低い長期修繕計画が主な原因です。
販売する際に㎡当たり30円程度の修繕積立金と設定しています。
長期修繕計画には“10年後、20年後には50円~100円程度になる”と、これは小さく書かれています。
販売時に長期修繕計画を提出することは、作成しているのに提出しない会社に比べまだましですが、㎡30円程度というのはあまりにも低額すぎです。
販売時に、「月々のローン+管理費+修繕積立金で〇〇〇円です。現在のお家賃と比べてください。あなたはまだ賃貸に住み続けますか?」なんてセールストークを使います。
修繕積立金は低ければ低いほど売りやすくなるのです。
そもそもこの長期修繕計画だって、㎡数や施工方法、単価の記載のないいい加減なものです。

管理組合で、引き渡し後3年目程度につぶやき主などの第3者の業者へ長期修繕計画の見直しを依頼します。
すると当初30円のものが5年目には100円、10年後には150円、20年後には200円なんてくらいのものが出来上がってきます。
見直しをした翌年の総会では修繕積立金の値上げが議案上程されます。
“そんなに上がるとは思っていなかった”“販売時にこんないい加減な修繕計画を配るなよ”
“詐欺師みたいな売主だ”などなど過激なご意見で紛糾しますが、値上げについては“仕方ないな”って感じで承認されます。

その後、管理費の削減へと話が続いてきます。竣工後しっかりした管理を行っていればいいのですが、つぶやき主にお声が掛るくらいですから、“もうちょっとしっかりしろよ管理”です。
そんな状態に付け込んで他の管理会社から新旧理事さんへ猛烈なアプローチが始まります。
猛烈なアプローチはいいのですが、“中にはナリフリ構わず、安けりゃいいんでしょ”みたいな不埒な管理会社もいて、勝手にエレベーター仕様は変えてくるわ、管理人の勤務時間は削減するわ、これじゃ自主管理と変わらないじゃんで、交通整理にやきもきします。

〇管理会社にとって、売り主のいい加減な長期修繕計画は全く迷惑な話です。
担当フロントマンは“いつも長期修繕計画の見直しの時期にリプレイスの話が持ち上がる”って嘆き節です。

頭の悪い売主です。管理会社というのは毎年の安定収入が期待できる業種なのです。
分譲マンションは売ってしまえば確かにその瞬間は莫大な利益が出るのでしょうが、それでおしまいです。
また来期に向けて土地の仕入れ~分譲を行わなくてはなりません。自転車操業と言われる所以です。
これに対し管理会社というのはリプレイスされない限り翌年も翌々年も管理費収入が期待できるのです。

親会社として管理会社が仕事しやすいように、組合員から信頼が得られやすいようにしてあげなきゃ、です。
そうすることがキチンとした情報開示が出来る、顧客重視のいい会社として販売にもいい影響が出ると思うのですが、目先の利益ばかりに目が行っている本当に頭の悪い売主です。

いい加減な長期修繕計画が、組合員からの信用を無くし、その挙句子会社である管理会社がリプレイスのターゲットにさらされ、ひいてはグループ全体の信用を落としていることに何故気が付かないのか、・・・。不思議です。