マンション管理士の独り言・・・1050

マンション管理士の独り言・・・1050

「旦過市場」

旦過市場ってマンションだって知ってました?
建物が長屋形状で連なっていて、それぞれの店舗が区分されかつ独立性があり、つまり専有部分として区分建物となっています。
当然、ひとつの店舗ごとに区分建物として登記され、区分所有者が多数存在します。
多くの方がマンションといえば、地上10数階と上にニョキニョキって伸びている建物を想像するでしょうが、民法から派生した「建物の区分所有に関する法律(通称:区分所有法)」では本来は横に長い長屋みたいな建物をイメージして作られたものです。
それが敷地の有効利用とか、建築技術の向上などがあり、地上何十メートルの建物の建築が可能になったので、現状に合わせて標準管理規約の制定に至っています。

旦過市場で再開発の話が出てもう3年が経ちますが、先日ようやく北九州市との間で完成までのスケジュールについて話し合いがまとまったようです。
それでは、2021年度中に着工し、6年くらいかけて完成させるようで、区画整理事業との位置づけです。
北橋市長と関連する4つの団体との間で調印式が行われていました。

「ウムウム、4団体?団体が4つもあるの?これじゃ話はまとまらないわな」というのが率直な感想です。
何故4つの団体があるのか?一つに纏めきれなかったのか?4つの団体の構成員はどうなっているのか?4つの団体で連携は取れているのか?もしかして、いがみ合っていて一つにまとまり切れなかったのか?など不安要素だらけです。

旦過市場の権利関係を詳しく知らないつぶやき主であっても、“大勢の区分所有者がいて、中には区分所有者から店舗を借りて商売してる賃借人も沢山いるはずだ。もしかしたら建物の区分所有者だけど敷地に関しては持ち分がなかったり、反対に敷地の持ち分だけを所有しているって権利者がいたら、どうするのだろう?合意形成はとっても大変だ”ってくらいは想像つきます。
しかも、そんな団体が4つもあるのです。
仮に3つの団体が“その案でOK”だとしてもひとつの団体が“その案じゃ呑めない、NOだ”と言ったらどうするのでしょう。
また、ひとつの団体では、どのように合意形成するのでしょう?
一つの団体の中でも意見の相違で、どうしても溝が埋まらず、さらに分裂しないか心配です。
マンション管理に携わるものとして、同じマンションの中にもし管理組合が複数あったらと思うと、背筋が凍ります。
一つの管理組合の中でも重要議案の審議では意見が真っ二つに割れて、収集がつかなくなることしばしばです。
それでも最終的には、管理規約という拠り所があるのが救いです。
4つの団体には、意思決定をどのようにするのかなどの、規約のようなものはあるのでしょうか?

また、所属先を転々と移動する役人さんでは一気通貫でこの業務に携わることが出来ません。
担当者が変わるごとに、“前の担当者にはこう告げていたのに、また同じ話をさせるのか”“前の担当者の言ったことと違うじゃん”となって手戻りばかりにならないか心配です。
そもそもこのプロジェクトは、区分所有法による建て替え規定に基づいて行わなければならないって、知っているのでしょうか?

北九州市民として心配しています。