マンション管理士の独り言・・・105

「売れていない住戸の管理費などは、だれの負担?」

市内では多くのマンションが新規供給されています。しかし、北九州の販売進捗では竣工時に3割~良くて5割、完成後1年で完売できれば大成功、多くのマンションが完成後2~3年で何とか完売にこぎつけます。
さて、この場合、売れていない住戸の管理費などはだれが負担するのでしょう。
東京地裁平成2年10月26日判決で、パレ・エテルネル事件というのがあります。
売主に対し管理組合が、売れていない住戸(未販売住戸)の管理費など滞納分863万円を支払えと訴えました。

これに対し、売り主側は反論しました。
①本件の管理規約では、管理費などの支払い義務は、専有部分の引渡の時から発生すると定められており、本件マンションの分譲業者で当初より専有部分を有している売主には支払い義務はない
②分譲マンション業界では、分譲業者には、完売されるまでは未販売住戸について管理費などを負担しない商習慣がある

判決では、
①区分所有者は複数の区分所有関係の発生した時期、すなわちマンションの譲渡により区分所有関係が発生し、登記などによりマンションであることが客観的に認識される状態になった時に規約や集会の定めにより、共有部分の管理費などの支払い義務が生じる。分譲業者であっても、未販売の区分所有権を所有する以上は、共有部分の管理費などを支払わなければならないのは、当然である。
②未販売住戸の管理費などを負担しなくてよいなどの商習慣の存在を認める証拠はない
③販売のために当マンション1Fに事務所を構え、来客の案内を行い共有のエレベーターや廊下を使用していることが認められるから、管理費などの支払い義務を否定できない
としました。

しかし、現実には、北九州では多くの売主が未販売住戸の管理費などを負担していません。
何故かと言うと、契約時か或いは引渡時にかわされる重要書類の中に、「未販売住戸の管理費などについて売主は負担しません」と記載されており、悲しいかな購入者がこれに同意して署名捺印しているからです。
売主・買主のお互いがそれで良ければ、お国は口を挟みませんってことです。
知らなかったとか、わかんなかった、読んでなかったとかは通用しません。
重要書類は事前にいただいてキチンと読むようにしましょう。