マンション管理士の独り言・・・1067

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「バルコニー内部の補修」

理事会の最中に組合員が血相を変えて来ました。
“工事業者と隣のご主人さんとが口論してる。仲裁してください”ってお話です。
理事長さんと管理会社フロントマンとが向かいました。
何とか鎮まったようですが、隣のご主人さんがかなりお怒りとのことでした。
詳しく聞くと、10月の台風でバルコニーの隔て板が破損し、その修理について工事業者の段取りが悪いのが原因の様でした。
補修費用は保険で賄われますが、バルコニー内部の工事なので入室させてもらっての工事となります。
1住戸のために足場は組めませんし、また足場代金は保険金の対象とは認めてもらえません。どうしても入室させてもらっての工事となります。

管理会社さんが手配したこの工事業者さんは、隔て板取り換えの工事のためにもう4度もそのお部屋へ入室させてもらっているとのことでした。
現場確認、寸法間違い、工事に来たのはいいが材料の手配間違いなどで都合4回目の入室でした。部屋へ入られる方は、その都度時間調整し在宅しなければなりません。
流石に4回目となりご主人がお怒りになったようです。
バルコニー隔て板取り換え工事は、1回か2回の入室で済む工事です。
“そりゃ、怒るよな”です。

バルコニー内部の物置の鉄扉が錆びています。
鉄部塗装は5年サイクルとされていますので、塗装しなければいけない時期に来ています。つぶやき主が各戸のご都合をお聞きし、スケジュールを組み全戸入室し発錆状況を確認しました。
これを塗装業者へ見積依頼しましたが、出てきた金額を見てビックリです。
屋上の通気管などの塗装に比べ、バルコニー内部鉄扉塗装は5倍以上の単価となっています。
その理由は、①足場を組んでの作業ではないので、1戸1戸ご都合を聞いたうえで作業工程を組まなければならない。
②塗装工事の場合、3度塗りが標準的で1回塗って6時間経過させ、2回目の塗装、さらに1日空けて仕上げ塗りとなります。居住者へその都度在宅してもらわないといけない。その段取りをするのがとても大変。
③バルコニーに行くために玄関や廊下を通ります。もし塗料がこぼれたら大変なので養生をしっかりしなくてはいけない。
④作業後に、「物がなくなった」と言われるケースがあるので2人以上の作業員で入室しなければならない
⑤在宅されるのは奥様が多いので入室する作業員の一人は出来れば女性としている。
などでした。
塗装作業自体は、そんなに難しいものでも時間がかかるものでもありませんが、段取りを組むのが一苦労です。とのことでした。

理事の方の中には、バルコニー内部での工事を簡単に“入室させてもらえばいいじゃん”と言われる方が少なからずいます。
工事自体はそれほど難しくなくても入室の段取りはとても難しいのがバルコニー内部の工事です。
出来れば大規模修繕工事時に足場が組んでるときに実施したい、となります。