マンション管理士の独り言・・・1072

マンション管理士の独り言・・・1072

「マンション管理士採用法」

5年に1度国交省が無作為に抽出したマンション管理組合さんへアンケートを実施したものが、「マンション総合調査」として公表されます。直近のものは平成30年度版です。
この中で専門家の活用状況が報告されています。
専門家を活用したことがある管理組合さんは全体の41,8%で、専門家としては、建築士が1番で15,6%、続いて弁護士が15,2%、3番目がマンション管理士13%となっています。
また、活用内容は、「単発のコンサルティング業務」が61,2%、顧問契約が20,4%です。
これらより、管理組合さんは、大規模修繕工事時に依頼する建築士を除き、何か困ったことがあった時に弁護士やマンション管理士へ依頼するというパターンが多いようです。
顧問として継続して助言指導を受けるというより、何か困ったことがあった時にスポット的に専門家へ依頼するというものです。
つぶやき主も、何か困った時ご依頼される管理組合さんが多いという印象を持っています。

しかし、分譲駐車場や、未販売住戸の管理費などを負担しない、勝手に増築している(違法建築)等悪質な販売方法をとる売主さんが多い北九州では、他のエリアに比べ問題が顕在化した場合の複雑化“こんがらがりよう”がハンパありません。
つぶやき主へ相談に来られるときにはもう手が付けられなくなってる、って場合が多くあります。
12月初めに日本ハウズイングさんのマンション管理セミナーで講師を務めましたが、その折、ハウズイングさんの偉い方から“つぶやき主さんへご依頼される管理組合さんはもう切羽詰まったところが多く、難問ばかりでしょうから大変でしょうね”と言われました。
その通りです。
自分たちだけでは解決できない、或いは意見が割れて収拾がつかないなど大変困難な問題解決のためのご依頼です。というより、そればかりです。

出来るだけのことはします、やるだけはやります。販売センター長だった時代を含め、これまでの経験や知識をフル動員して、さらに他の管理組合さんや管理会社さんの手法を取り入れて問題解決の道筋をつけようと奮闘努力します。
しかし、魔法の特効薬を持っているわけではありません。経験や知識をもとに、地道に絡み合った糸を一本一本解していくだけです。過去のいきさつを全て理解できる訳ではありません。どうしても限界があります。

これらを通して感じることは、マンション管理士をお住まいの皆様の快適なマンションライフのために有効に使う1番の方法は、スポットに依頼するのでなく、顧問として継続して採用されることをお勧めします。
早ければ早いほうがいいです。可能ならば、マンション引き渡し後直ちに採用されるのが一番です。
こうすれば、理事会や総会、説明会の全てに出席した専門家がいるとなり、いわばその管理組合の生き字引みたいな存在が得られるからです。
管理会社のフロントマンは3年に一度くらいのペースで担当変えとなりますし、管理人さんだって大体5年くらいで定年を迎えちゃいます。理事長さんはじめ役員さんに至っては、1年で総入れ替えです。

何もトラブルが発生していない時にマンション管理士を雇って顧問料を支払うというのは組合員さんの間で中々合意が得られるものではありません。
しかし対処療法としてではなく、トラブルを未然に防ぐ、予防措置としてマンション管理士を採用することが一般的になればいいな、というのが本年度〆の感想です。