マンション管理士の独り言・・・1086

マンション管理士の独り言・・・1086

「変わる環境、マンション総合保険」

昨年10月にマンション管理組合が付保する共用部分保険の保険料(掛け金)が大幅に値上げされました。
3年ほど前にも大幅に値上げされたのに、今回もかなりの値上げ幅です。
つぶやき主がお世話している管理組合さんには、中途更改を勧め、多くの管理組合さんで値上げ前に更改することが出来ました。
値上げ傾向にあるってことは分かり切っているので、どこの管理組合さんも5年の長期保険を選びます。
このマンション総合保険の環境がだんだん変わりつつあります。

先ほどの中途更改に関しても1件の古いマンションでは中途更改に応じてもらえませんでした。その上、“次回お請けするかどうかも検討中です”って釘を刺されました。
三井住友海上損保では築20年超のマンションでは、管理組合から支払われる保険料の1,3倍の保険金を支払っているとのことです。
商売としては全く成り立っていません。
また、築20年を超え今まで共用部保険を付保していなかった管理組合さんが、新たに保険付保しようとすると、請けてくれる損保会社さんを見つけ出すのはなかなか難しいというのが現状です。

更に保険環境は大きく変わりそうです。
今までは何度保険請求を行っても次回の保険料には影響しなかったのですが、今後は車の保険の様に保険適用事故が何件あったかで保険料が異なってくるようです。
保険料もですが、最悪の場合「おたくの管理組合さんの保険はお請けできません」ってこと在り得るって話です。

東京海上日動火災保険では、更新前の2年前から保険金請求事故をウォッチしているそうです。
この場合支払われた保険金ではなく、何件の保険事故があったかを見ているようで、従って大きな保険事故なら兎も角、小さな保険事故の場合、保険金請求せずに管理組合が自腹を切って補修したほうが安く上がることも考えられるとのことです。
台風後にバルコニーの隔て板が破損し、その補修費(約8万円程度)を保険請求していましたが、今後はこの程度の保険金請求は行わないよう提言するっていう管理会社さんが増えてきています。
また、管理組合でも高額になった保険料対策のために保険金額(支払い限度額)の見直しを行うところが増えてきました。
保険金額は、1つの事故に対して支払われる限度額でマンションの場合、全損することは考えにくく、保険金額を低く抑える動きが出てきています。
実際に九州管内でマンション総合保険で支払われた保険金は最高で4000万円程度らしく、木造家屋の様に建て替える際に必要な金額(再調達価格)まで付保する必要はないとの考えからです。

保険金額を大幅に下げても、思ったほど保険料は下がりませんが、それでも経費削減には繋がります。
ただし保険というのは“もしも”事故の損害をカバーするものですから、大災害に見舞われた際に「あの時の理事会が保険金額を低く見直したので、損害の全てをカバー出来なかった。余計な提案しなけりゃ良かったのに」なんて言われることのないよう、総会でしっかり説明して承認をもらわなきゃ、です。