マンション管理士の独り言・・・108

「マンションの理想」

ちょっと古いのですが、マンション管理センター通信1月号に「マンションの理想」というコラムを弁護士さんが書いています。
内容をはしょってご説明すると、
子供のころ、「マンションは近所付き合いをしなくていいから楽だよ」と大人たちが話している記憶があります。
マンションというのは隣の人が誰でどんな人であるかなんて気にせず、自由に住めるというイメージがありました。
ところが現実のマンションでは管理組合という名のもとに近所付き合いをしなくてよいどころか、強制をされます。

クジ運が悪かったり、ジャンケンが弱かったりして不幸にも理事長にでもなろうものなら、理事会に出席したり、最低年1度の総会を開催しなければならず、そのための議案の作成やら予算案・決算報告やら・・・「集合住宅の管理」などという超難問にかかわらなくてはなりません。
このような煩わしさから解放されてマンションライフを楽しむためには所有と管理を分離する必要があり、そこにはプロとしての管理者の存在が不可欠です。
そのプロ候補として管理業者やマンション管理士はいるもののいずれも能力不十分、としています。

この弁護士さんのコラムに対し集合住宅管理新聞アメニティには、補足とも反論ともとれる記事が掲載されています。
主旨は、
最近管理者問題が盛んに論じられています。
高齢化、賃貸・空室率の増加、管理組合への無関心などがその背景にあります。
このような状況下国交省は、H19年に「第3者管理方式検討委員会」を立ち上げました。そのうえで上記弁護士さんのコラムについて、マンションというものは、集会の決議を中心につちかわれてきました。
ここから得られた蓄積は民主主義のもっとも良質な部分であり、管理組合もそれなりの価値が認められるべきです。
更に現状では管理組合に代わるべき第3者が成熟していないとしています。
この点においては両者とも意見が一致しています。
更にもう一つ一致している点があります。
販売主は、今は「マンションを購入したら輪番で理事になっていただく必要があります」などの販売促進には逆行するようなトークをしていますが、近い将来「この物件は理事会活動などという煩わしい事をしていただく必要はありません」等、理事になる必要のないことを売りにしたマンションを分譲することが十分考えられるというものです。

考えさせられる記事でした。