マンション管理士の独り言・・・1093

マンション管理士の独り言・・・1093

「コロナウィルス対策、総会の開き方」

多くの管理組合さんは3月末に年度の締めを迎えます。そしていつもはその2か月後、或いは3か月後の5月末か6月末に総会が開催されます。開催時期は規約によって異なります。
このため3月終わりか4月初めに決算理事会があり、監査が行われ、総会に上程する決算案が審議されます。
民法では、委任を受けたもの(受任者)は年に一度は業務の進捗状況を委任者へ報告しなければならない、となっています。従って、理事長は組合員へ年に1度報告しなければならず、また管理会社も管理組合に対しマンション管理適正化法により、年に1度の報告が義務付けられています。
前年と管理委託の内容が異なるとき(受託料の値上げなど、管理組合さんに不利になる場合)には重要事項説明会の開催も義務付けられています。
さらに区分所有法は基本的に集会主義を取っていて、つまりは“少なくとも年に1度は皆で集まって話し合って決めましょう”となっています。
これらより、規約では年度終了後2~3か月以内(区分所有法では1か月以内)に集会を開催することが明記されています。

そこへこのコロナウィルスです。規約違反とならないよう管理会社各社や管理組合さんは“総会は開催するけど、出来るだけ参加しないでね。委任状や書面で議決権を行使してね”ってスタンスで臨んでいました。
このような動きに対し、中高層管理業界は2月末に加盟業者に“総会は延期したり中止したりしてもいいよ”ってガイドラインを発表しました。さらに国交省に属する「マンション管理センター」では、法務省見解として、“今般の新型コロナウィルス感染症に関連し、前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の集会の開催をすることが出来ない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りる”が示されたことがアップされていました。こんなのを超法規的措置っていうのでしょうか。

これを受け当期の理事さんへ“コロナウィルス対策として総会は延期しても規約違反にはならないそうですよ”ってご案内します。
しかし「延期」と判断する組合さんはつぶやき主が知る限りゼロです。
理由は、「延期された総会まで理事を継続しなきゃならないじゃん。早く総会やってお役御免としてよ」というものです。
また、総会を延期すれば今期の予算が承認されないままの状態なので、何かと不便というのもあります。
折角法務省さんが次期検事総長の定年延期問題でお忙しい時に、「総会は延期しても規約違反にならないよ」って見解を示してくれたのに、規約通りの時期に開催し、書面で議決権を行使してもらおうとする組合さんが多いというのが実情です。

“本来なら5月開催の総会で理事長交代となるところ、コロナウィルス対策でもうしばらくの間理事長を継続しなくてはならなくなった理事長さんには1か月10万円を支給する”みたいな対策を立てればもっと実効性が上がったのに・・・。
「和牛購入券」などよりましだと思います。

そんなこんなで、セッセと議案つくりに励んでいます。