マンション管理士の独り言・・・1094

マンション管理士の独り言・・・1094

「バルコニーの設え」

最近では特になかやしきさんなんかは、横幅は勿論のこと、奥行きもタップリとったワイドバルコニーを売り物にしています。
また、全開放サッシュを採用し、リビングと一体となったバルコニーの使い方を提案しています。セカンドリビングって触れ込みです。夢がある提案です。
以前は、バルコニーには水栓(SK)さえ付いていませんでした。
水栓を付けるとどうしても水を大量に流して、デッキブラシでゴシゴシって掃除をやりたくなるのが心情で、防水を施していないバルコニー床から漏水の恐れがあるってことで水栓設置はどこの売主さんも敬遠していました。そのころに比べると隔世の感があります。

マンションに入居したら、アレもしたい、コレもしたい、と胸ときめかせています。
バルコニーにもどんな設えをしようかと考えています。
ルーフバルコニーを含むバルコニーは、専有部分ではなく、つまり自分のものではなく、共用部分というくくりの中で専用使用部分と規定されています。
自分のものではなくそのマンション購入者全員の共有となる共用部分だけど、その住戸の方が独占的・排他的に使用できるよって部分です。
バルコニーの使用に関しては、大量の水や土を運び入れたり、物置を置いたり、バーベキューをしたりするのは禁止ですが、社会一般通念上でいうところの常識の範囲ならば、設えOKです。

しかし気を付けていただきたいのは、新築後10年~15年の間で行われる大規模修繕工事の際に邪魔にならないようにする、ってことです。
大規模修繕工事の際は、バルコニーに設置しているエアコン室外機の脱着でさえも基本的にはその住戸所有者の費用負担です。大規模修繕工事を実施する業者が、脱着を行ってくれますが、ガス抜きなど含め1基あたり3万円くらいかかります。
エアコン室外機脱着費用でさえ、その住戸所有者の負担なのですから、手摺にラティスを付けていたり、床に人工芝や大判タイルを敷き詰めていたりすると脱着費用もその分余計にかかることになります。
間違ってもバルコニー手摺へのビス留めや物置を設置してはいけません。
小倉北区のマンションでは、大規模修繕工事の際にその住戸所有者がルーフバルコニーに設置された物置をどかさないというので、管理組合に訴えられる、までに発展した事例もありました。

また、売主さんが棟内モデルルームの見栄えを良くしようと考えてバルコニーに大掛かりな花壇を設置することがあります。
それが気に入ってその住戸をそのままに購入した人と管理組合との間で大規模修繕工事の際に、どかす、どかさないで揉めることもあります。
売主さんはモデルルーム設置の際に花壇設置の際のバルコニー床の防水にまで気を使っていませんから、大規模修繕工事時には防水補修工事が必要になります。

その住戸所有者は、売主が設置したバルコニー内花壇をそのままに購入したのに、撤去費用を負担するのは納得いかない、更に再度復旧(花壇をもとに戻す)まで“行ってこい”の負担になるじゃん、ってことです。

使い方や設え次第では夢のある使い方が出来ますが、よ~く考えないとお金がかかるし、また管理組合との間でもめ事に発展することもあるっていうのがバルコニーです。