マンション管理士の独り言・・・1097

マンション管理士の独り言・・・1097

「滞納管理費などをチャラに出来るか?コロナウィルスのバカヤロー」

前回に引き続きコロナウィルスが管理組合活動に及ぼす影響についてつぶやきます。
経済活動の自粛、低迷により収入が激減した組合員は、各種ローンの返済や携帯電話の使用料を滞らせる前に、真っ先に管理費や修繕積立金の滞納へと向かいます。
前回つぶやいたように、同じ屋根に住む組合員同士ってことで、管理組合や管理会社からの督促がそんなにしつこく強引でないって理由もあるようです。

滞納をず~と続けたまま、そこに居座る組合員も現れることがあります。
居座るって表現は適切でないかもしれませんが、この組合員はここにいるしかないのです。その住戸を売ろうとしても管理費などの滞納額がネックになり、買い手はつきません。
“滞納が長く続き、それが正常な管理組合活動に支障を及ぼす場合は、管理組合がその住戸を所有者に代わって売り出すことが出来る”って裁判例もありますが、売れないものは誰が売りに出したって売れっこありません。
また、所有者に代わってその住戸を売り出すまでには裁判上の手続きだけで大変な作業となり、多くの時間と手間、エネルギーが費やされます。
更には弁護士に依頼することになり、その費用もバカになりません。
費用対効果を考えれば全く割に合いません。

何時までも回収できる可能性のない滞納管理費をずっ~と未入金として計上決し続けるのか?って現実的な問題に直面することになります。
滞納された管理費などをチャラ(免除)にしようって話が持ち上がります。
滞納された管理費などをチャラにするのは、共有物の処分行為に該当します。
これが可能かどうか?
このような場合は、民法251条に、「他の共有者の同意がなければ、共有物に変更を加えることが出来ない」と規定されています。
“他の共有者”というのは“他の共有者全員”という意味で、マンションならば組合員全員の同意がなければならないということです。
“チャラにすることは出来るけれど、組合員全員がチャラにしてあげていいよって同意するのならば出来るよ”ってことです。これは事実上は出来ないと同じことです。

しかし、実務上はそう頻繁に行われることではありませんが、アルにはあります。
規約で、「総会の特別決議で管理費等の滞納分を免除することが出来る」って規定している管理組合さんもあります。現実的な対応です。仕方ありません。
チャラにしてあげると、キチンと負担している人との間で不公平になり「正直者がバカを見る」ってことにもなりそうです。
“チャラにしてあげていいよ”って派と、“チャラにしてあげるべきではない”って派が対立することにも成り兼ねません。
そうならないように“この滞納者の境遇じゃ仕方ないよね”“今回だけ、この人だけ特別だよね”って雰囲気を作り出さなければなりません。

しかし、水道一括検針の場合の水道料とか、駐車場使用料なんて言うのはチャラに出来ません。その人だからこれだけの水道を使用した、っていう属人性が高く、何より自分で飲んだ水の代金を管理組合に立替払いさせるな、ってことです。

お国が、収入の減少した中小企業に対して行う補助の様にこの滞納された管理費などを補填してくれたら、管理組合や管理会社、さらにはつぶやき主もとても助かるのに、なんてならないだろうな、、、。