マンション管理士の独り言・・・1105

マンション管理士の独り言・・・1105

「売れ残りマンション」

13年超の販売センター長時代を含め、ご当地でもう30年以上マンション関係の仕事に携わっているので、新築マンションの計画が発表されれば、どのくらいの期間で完売するのか大体予想がつきます。そんなに外れることはありません。

大都市では「売り出し開始と同時に完売」なんていうのを耳にすることもあり、見かけは成功のように見えますが、これは上司に大目玉です。
“値付けが甘かったのではないか?もっと高い売値を設定できていたはずだ”という調子で叱られます。
プロジェクトとして最高と見なされるのが、竣工完売です。
ご当地でも竣工完売するプロジェクトもチラホラ見られるようになりましたが、購入者から“そんなに慌てなくても竣工してから実物を見て、それからでも希望住戸は充分に買える”って思われている市場です。竣工1年で完売できれば、御の字プロジェクトです。

桜が名所の志井川が毎朝の散歩コースです。
ここに新築マンションが建っていますが、かなりの戸数売れ残っています。というか、ほとんど売れていないようです。
3年ほど前に分譲した隣接マンションもかなりの期間売れ残っていましたので、同じ轍を踏まなきゃいいな、と思っていましたが、しっかり踏んでしまっています。
近隣住民からの要請で、このマンションの近隣説明会にも参加しましたが、そもそも何故この場所でマンション建設するのか?理解不能でした。
戸建てなら抜群ですが、マンション立地じゃないよな、です。
近隣住民の方へは、売れ残りますよ、と予言していましたが、まさにその通りになりました。

しかしこのマンションでもやがて完売します。売り主さんは何としても完売させます。
先ずは、モデルルーム特別分譲です。家具や家電をつけて販売します。そしてその後は価格改定です。
当初の価格で購入した人との間で、「価格を安くされたらその分資産価値が下がるじゃん」とトラブルになります。最悪の場合は、訴訟に発展する事だってあります。
しかしほとんどの場合購入者に勝ち目はありません。
亀井静香さんが国交大臣だった時の、公社分譲のマンションの価格下げ裁判で「売り主には価格設定の自由が認められている」からです。

さらに売り主さんは、このマンション工事に関わったゼネコンや設備業者、司法書士など関連する業者さんに「1戸買ってよ」と圧力をかけます。
だから、「売れ残りマンション」で建設に何か不都合あっても売り主やゼネコンさんへ管理組合として補修の要求をしようとは中々なりません。
購入者の中に売り主さんシンパが沢山いるからです。
また、知り合いの不動産業さんへ“安くするから賃貸物件としてどお?”ってアプローチします。

売れていない住戸の管理費修繕積立金の負担の問題もあります。市内デベさんの多くは、「管理に要する費用が不足する場合には、実費分のみを売り主が負担する。ただし修繕積立金は負担しない」となっています。
つぶやき主はかつて竣工4年で完売したマンションで売れなかった間の修繕積立金の不足分1000万円以上を売り主さんへ請求しようと行動したことがありましたが、そのマンションの売り主さんのシンパ購入者に潰されたことがあります。

売り主さんが“売らんがために”早期の購入者へ2つの駐車区画をあてがって、遅くに購入した人が敷地内駐車場からあぶれてしまった、などが発生します。

これらを含めても金額的に魅力あるかどうかが購入の決め手です。