マンション管理士の独り言・・・1110

マンション管理士の独り言・・・1110

「コロナ後のマンション」

3密を避けた結果なのか?気温や湿度が上がったからなのか?PCR検査の実施数が少なかったのか?はっきりは分かりませんが、コロナウィルス第1波は収束したようです。
しかしご当地北九州では第2波の真っただ中で、つぶやき主が住んでいる所の中学からは大勢の陽性者が出ていますし、お世話している管理組合さんの学校区からも陽性者が出ています。それでも5月は6つの総会が開催され、つぶやき主も参加しました。

マンションライフの基本となるのは管理規約で、これは国交省が策定した標準管理規約がベースになっています。
標準管理規約そのものは、法律ではありませんが、管理規約を新設したり、改定する場合の参考にしてね、って作られているもので、多くの管理組合ではこれに準拠しています。
標準管理規約のベースになっている法律が、「建物の区分所有に関する法律」というもので、通称「区分所有法」です。

この区分所有法は、集会主義を原則としています。
“皆で集まって話し合って決めてね”ってことです。この法律が作られたときは、ネットやラインなんてありませんから、“集まって話し合って決めるべ”となっています。
民主主義の根本である、直接民主制です。
皆で集まっても話があっちに行ったり、こっちに来たりで要領よく会議が進まない懸念があります。そこで標準管理規約では理事会という機関を作り、そこで総会で話し合うベースとなる議案の策定を行うこととしています。

そんな集会主義ですがネットやラインが普及するのにつれて、合理的ではない、時代にそぐわない、わざわざ皆が集まらなくてももっと簡便な方法があるだろう、となってきました。
標準管理規約では、時代の要請に合わせネットやラインなどを電磁的処理なんて難しい言い方をしていますが、遅ればせながらこれらを取り込む傾向にあります。

しかし、いかに国交省が策定した標準管理規約といえどもそのベースとなる区分所有法に反することは規定できませんし、逸脱も出来ません。
標準管理規約も区分所有法の集会主義を踏襲しています。
具体的には、皆が集まる総会に変えて書面総会を開催しようとするときは“皆が集まらなくていいよ。全員の承諾あればね“となっています。
一応、“総会に代わりに書面などで総会が可能だよ”という道筋を示してはいますが、全員の承諾というのは、実質は道を閉ざしているのと一緒です。

今回のコロナ禍では、この「皆が集まる総会に変えて書面総会を開催するときは、全員の承諾が必要」というハードルを越えられませんでした。
結果としてコロナ禍の真っただ中の5月に総会を開催しなければならない、となってしまいました。

集会主義という基本理念は結構なのですが、ネット環境が整い、更にコロナウィルス蔓延防止のために、総会に代わり書面総会とする際のハードルをもう少し低くしてもらえないものかと考えています。
マンションの建替え決議は、以前は全員の賛成が必要でしたが、あまりに現実離れしているということで5分の4の賛成で良い、とハードルが下げられています。
そのような法改正も過去にはなされているのです。

書面総会するのは全員の賛成が必要で、マンション建替え決議は5分の4でOKなんておかしかろうもん。