マンション管理士の独り言・・・1111

マンション管理士の独り言・・・1111

「この世は約束でできている」

ジャン・ジャック・ルソーは「社会契約論」において、社会の秩序は個人間の自由な意思の基づいた契約によって成り立っていると言っています。
契約とは約束とも言い換えることが出来ますが、約束は守られるという前提でこの世の秩序は保たれています。約束を守らないと厳しい罰がまっています。
このことは個人間の約束事でも、個人と企業との物の売り買いに関しても、もっと大きく言えば国家間についても同様です。

個人間の約束では、「指切りげんまん」に代表されるように、ほとんどの約束事は書面を交わすことなく、口頭でなされます。
しかしもし約束を破ったときは「針千本」飲まされることになります。
実際に「針千本」飲んだ人をつぶやき主は知りませんが、“あいつは嘘つきだ”“あいつを信用してはいけない”と遂には誰にも相手にされなくなっちゃいます。
社会的信用は失墜します。食べてすぐに横になる人で牛になった人もつぶやき主は知りません。チンドン屋に連れ去られた人も・・・。

マンション購入は、その約束事の最たるものです。
まずは、売主さんとの間で売買契約を交わします。売買契約書には、小さな文字でいろんなことが書き込まれています。いつどのように代金を支払うのか?支払いが遅れた時はどうなるのか?引き渡し時期はいつか?手付金の性質は?もしキャンセルとなったら手付金は返却されるのか?あるいは倍返しか?などです。
知った者同士では、「指切りげんまん」でいいのでしょうが、知らない者同士、しかも個人と企業との約束事です。後々当事者間でトラブルにならないように契約当初の段階から細々とした取り決めが契約書に記載されています。
そして購入者は、“その売買契約書に記載された内容でいいですよ”と承認して契約が締結されます。後で、“そうとは知らなかった”“読んでいなかった”は通用しません。

続いては、金融機関との金銭消費貸借契約の締結です。いくら借り入れし、返済は毎月分がいくらでボーナス時にはいくら、もし延滞したら延滞料はいくら、というようなことが記載されています。
また、もしもの場合のために保証会社との間で保証委託契約を締結しますし、生命保険に関し団体信用生命保険契約の締結もあります。

そして入居後のマンションライフに関しては、管理規約・使用細則という約束事を守らなければなりません。
“これらを守りますよ”と約束したことの証に「管理に関する承認書」に署名捺印を求められます。
金融機関との金銭消費貸借契約に関しては消費者保護の観点から消費者に不利な項目はどこの金融機関でも見当たりませんが、管理規約や使用細則はそうでもありません。
管理規約や使用細則はそれぞれのマンションで異なります。
これに関しても住み始めて“そうとは知らなかった”“読んでいなかった”は通用しません。

管理を委託する管理会社との間では、管理委託契約の締結があります。
管理組合設立総会時に、議案として「○○管理会社と管理委託契約を締結する件」が提案され承認を求められます。この管理委託契約についても、管理委託契約書に記載されている内容で管理が実施されます。

ここまでつぶやいて何が言いたいのかというと、これら書面に記載されている契約書を読んでいない方が多すぎるってことです。読んでいないのに自分の勝手な思い込みで主義主張をする方が多いのに閉口します。
大金支払って、長い間かけて支払うマンションです。仕事終えてユッタリと家族団らんでくつろぐために購入したマンションです。
売買契約書・管理規約・使用細則・管理委託契約くらいは読まなきゃ、です。