マンション管理士の独り言・・・1115

マンション管理士の独り言・・・1115

 

「親切な管理士さん」

 

誰も教えてくれないというか、説明できるほど詳しくない人がいない、そんなことを教えちゃう、親切な管理士さんシリーズです。

今回は、北九州市ではびこる悪しき販売方法、「分譲駐車場」についてつぶやきます。

他市ならば分譲駐車場についてつぶやく必要なんてないのですが、何せここ北九州では地場売主ではなかやしきさん以外は、どこもかしこもこの分譲駐車場という“毒リンゴ”に手を染めています。

北九州で、コロナウィルス第2波が来て、未だに収束しないのは、この分譲駐車場というマンションが多いからではと密かに考えています。

 

「分譲駐車場」という言葉を聞くだけで吐き気を催すくらい大嫌いです。

しかも最近は、マンションが建っている敷地(法定敷地)の道路を挟んで前の敷地を規約敷地とし、それを分譲するという神をも恐れぬ不届きな売主がいたりしてここ北九州では何でもアリの状況です。

“分譲駐車場区画を規約敷地にしたって何が悪い?”って声が聞こえそうですが、敷地を売り払いその代金はマンション売主に入り、維持管理だけは管理組合に押し付けるって図式です。

 

「分譲駐車場」のあるマンションを買ってはいけない、買えば将来必ず入居者間でトラブルに発展する、というのが結論です。ご当地でマンション管理士専業でやってきて、入居者間のトラブルの根っこには必ずと言っていいほど「分譲駐車場」があります。そして「分譲駐車場」に起因したトラブルは解決の方法が見当たりません。

入居者を将来トラブルに巻き込む販売方法が「分譲駐車場」です。

 

それでももう買ってしまったマンションに分譲駐車場がある、相続したマンションに分譲駐車場がある、なんて場合もあるでしょう。分譲駐車場があるだけで最悪ですが、それ以上悪くならないようにするために確認すべきことがあります。

まずは、「専有部分の譲渡の場合に、分譲駐車場と専有部分とを切り離して売ってはいけない、必ずセットで譲渡すること」となっているかどうかです。専有部分と切り離して分譲駐車場だけを売られたら目も当てられません。もし「分譲駐車場のみを売るときは他の区分所有者にのみ販売しなければならない」としなければなりません。

 

また、「駐車場充足率100%のマンションならば、分譲駐車場もそのうちの1区画とカウントし、分譲駐車場利用者は、その区画とは別にもう一区画の利用を要求できない」となっていなければなりません。

分譲駐車場は自分のもので、それとは別に組合員として組合管理の賃貸区画を1区画借りることのできる権利がある、なんて屁理屈をこねる組合員がいて難儀します。

そんなことがあってるの?そんなこと言う人がいるの?なんて思うかもしれませんが、マンション名は伏せますが、実例でつぶやいています。

 

分譲駐車場の課税方法についても確認必要です。地下に分譲駐車場ある場合は、家屋の分類で登記できます。床・壁・天井という3方が隔絶されていますので登記できるのです。

登記しているマンションもあれば、登記していないマンションもあります。

課税課では登記していないというより、登記できるが登記していないと捉えています。多くの場合、分譲駐車場2区画まとめて登記しそれを2人の所有者の共有としています。

登記されていても地下分譲駐車場の床・壁・天井などは構造躯体は法定共用部分に該当しますから、その維持管理は管理組合が行うこととなり、その費用負担についても知恵を絞らなければなりません。

分譲駐車場を所有していればその分だけ敷地や共用部分の持ち分に反映されている場合もあります。

また、通路に関しても多くの場合、分譲駐車場所有者全員に面積案分して振り分け課税していますが、賃貸駐車場が存在していれば話がややこしくなります。

 

地下駐車場の場合、消防法により泡消火器の設置が義務つけられていますが、このメンテナンス費用を管理組合で負担するのか?あるいは地下分譲駐車場所有者の一部共用部分として、分譲駐車場所有者の負担で維持管理を行ってもらうのかなどがしっかりと決まっていないと将来トラブルに発展します。

 

まだまだ実務的には解決できない問題がたくさんあります。悪いことは言いません。

分譲駐車場のあるマンションは買わないことです。将来必ずトラブルに発展します。

そのトラブルが発生したころ売主は、“そんな昔のことは知りませんよ”で責任を追及できず、入居者間でいがみ合うことになります。入居者間でいがみ合うことが一番みっともなく、そして解決できません。