マンション管理士の独り言・・・1117
「住みたい田舎ランキング1位 だって」
北九州市は、「住みたい田舎ランキング1位」だそうです。
中でも“子育てがし易い街”部門では8年連続1位のようです。待機児童がもう何年も0人、救急を含めて病院・診療所が多く、子供の急な発熱なんかにも迅速に対応できるようです。
“オトナが住みたい地方”部門でも1位のようです。理由として家を借りる場合、家賃が安い傾向にあり、また物価が安く食べ物も新鮮、豊富で美味しいっていうのが挙げられています。
もう61年北九州に住み続けたつぶやき主としては、ウン、ウンって納得できます。
でも難癖付けるようで忍びないのですが、これを手放しで喜んでいてはいけません。
“快適マンションライフ”部門があれば、間違いなく最下位です。
理由は大きく3つです。
一つ目は言うまでもなく分譲駐車場という悪しき販売方法です。
もう何度も口が酸っぱくなるほどつぶやいていますが、分譲駐車場という販売方法をやっているのは日本全国見回しても北九州だけです。
以前は他の都市でもありましたが、現在は北九州だけになっています。
そもそも土地のすべてを売っておきながら、何で駐車区画として売れるのか訳が分かりません。
駐車区画の分譲代金が売主に入り、毎月の駐車区画使用料が管理組合に入りませんから、大規模修繕工事時に資金がショートしてしまいます。
大規模修繕工事が実施できずに、スラム化するマンションがあっちこっちに増えそうです。
あんなトランプ大統領にだって、何があっても支持するという岩盤支持層があるように、分譲駐車場が良いっていう、根強い購入希望者がいるから、売主買主どっちもどっち、です。
“将来住民間でトラブルになるマンション設備”部門あれば、分譲駐車場はダントツで1位です。
次は、未販売住戸の管理費などを売主さんが負担しないことです。
竣工完売というマンションもチラホラと見かけますが、多くは竣工時にまだ半分くらいしか売れていません。
竣工時に未販売住戸の管理費な修繕積立金をだれが負担するのか?これについて国交省は、“売れていないならば、その住戸は売主のものだろ。売主が負担しなきゃ”と至極まっとうな見解を出しています。
しかし、市内多くの売主さんは“竣工時に未販売住戸あった場合は、管理に要する費用が足りないときは、その実費不足分のみ売主が負担する。ただし修繕積立金は負担しない”としています。
売れていないことについて管理組合には何の責任もないのに、売れなかったデメリットを管理組合に被せています。
売れるまで修繕積立金は入ってきませんから、長年売れない住戸があるとこれもまた大規模修繕工事時に資金ショートを招きます。
西鉄さんは、“竣工時に未販売住戸あれば、それら全ての管理費・修繕積立金を売主が負担する。さらに1住戸に1駐車区画分の使用料も負担する”としているのに比べ北九州の売主さんの何とセコイことか。
更に高齢化が進む北九州市です。年金頼りのお年寄りが増えてアチコチで修繕積立金の値上げができない、滞納者が多くなった、という声を聴きます。
大規模修繕工事が実施できずにスラム化していくマンションが増えるんじゃないかと心配しています。
街中に古びて、煤けて、空き家が目立つマンションが増えちゃえば、「住みたい街」になるわけない、って心配しています。