マンション管理士の独り言・・・1123

マンション管理士の独り言・・・1123

 

「いかがわしい業者」

 

どこで聞きつけたのかお世話している管理組合理事長に、「保険金請求を忘れていませんか?3年以内にあった事故でまだ保険金請求していないのならば、当社が行ってあげますよ」というアプローチがありました。

つぶやき主がお世話している管理組合さんに限って保険金請求できる事故があっているのに、申請し忘れなんてあり得ません。

ところがどうも真っ当な業者さんではないようで、本来ならば保険事故には該当しないような経年劣化が原因のものであっても、例えば台風で破損したかのように取り繕います。

子飼いの補修業者へ法外な見積もりを出させて、保険会社から保険金を少しでも多くむしり取ろうとします。

そして給付された保険金の50%を手数料として請求されます。

 

この手の強引な保険金請求業者が蔓延っているらしく、保険会社のほうでも易々と保険金を出すようなことはしませんが、あくまでも管理組合からの事故申請なので、現地確認を行い、多少の金額は出さざるを得ないようです。

 

初めから補修するつもりもなく、現金獲得が目的で、しかも経年劣化なのを台風での損傷のように見せかけて保険金を申請するなんて、やっちゃダメです。

こんな「いかがわしい業者」は集中豪雨や大きな自然災害の直後のドサクサに紛れて暗躍するようですから、くれぐれも関わらないように。

 

最近では保険会社さんは、マンション共用部の保険付保を請けたがりません。

保険代理店は手数料収入になりますから積極的に勧誘しますが、大本の保険会社さんは付保に消極的です。

事故があまりに多く(特に階下への漏水事故)、マンション共用部保険は大赤字部門だからです。

それでも社会インフラ整備のために請けざるを得ないというのが実情です。

 

以前はマンション共用部保険は、自動車保険などと異なり、保険事故が発生しても点数が下がったり、保険料が上がったすることがありませんでした。

ところが最近は異なります。過去3年間に保険事故が何件あったかによって契約継続にさいしての保険料が異なるようになってきました。保険金額でなく事故の回数です。

このため気の利いた管理会社さんは、少額で補修できる保険事故の場合は、保険金請求せずに管理組合負担で処理してしまいます。

保険金を請求できる事故なのですが、小さい事故でも事故1回とカウントされちゃいますので、更新の場合の保険料の増額のほうが大きくなることを危惧してのものです。

 

総会では、決算報告で修繕費の支出を報告しなければなりませんが、保険金収入についても報告しなければなりません。

「こんないかがわしい業者の口車に乗って収入を増やそうとするのは情けない。理事会には矜持がないのか」と大紛糾したこともありました。

管理組合から支出するお金も、反対に入ってくるお金も組合員全員のものです。

これ、肝です。