マンション管理士の独り言・・・1124

マンション管理士の独り言・・・1124

 

「万全には程遠いけど、コロナ対策」

 

理事会で役員さんから「当マンションで何らかのコロナウィルス対策を講じるべきでは?」というご質問です。少し勉強しています。

まず、管理会社さんですが、管理を受託しているマンションでコロナウィルス感染者や陽性者が出た場合の対応は、管理員さんはじめフロントマンはそのマンションには出勤停止になります。多くの管理会社さんでこのような対応となります。

すでに管理組合宛にこのことを明記した文章を発行している管理会社さんもあります。

自分の居住するマンションでコロナウィルス感染者が出た場合、受託管理会社さんの対応はどうなのか、については予め知っておかなければならない事項です。

事実、非常事態宣言時には、受託マンションへ出勤せず自宅待機を命じられた管理人さんもいました。後日勤務していない日数分だけ管理委託料の返金がありました。

 

多くのマンションでは、オートロック前やエレベーター前に消毒液を配置し、切らさないように詰め替え作業を行っています。当初は管理会社さんの負担で行っていましたが、詰め替え用消毒液は管理組合さんが負担するようになってきています。

また、エレベーター内ではできるだけ距離を取り、それぞれ四隅を向いて乗ってもらいます。

 

現在、新型コロナウィルスをはじめ「感染症予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に感染した場合の規則を作成していますが、どこまでを強制できるかに頭を悩ませています。

本音で言えば、マンションに居住する入居者が新型コロナウィルスをはじめ「感染症予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下、感染症法と呼ぶ)に定められた感染症に感染した場合に、速やかにその事実を管理組合へ届け出ていただきたいのですが、強制は出来ません。プライバシーの問題もあり、「出来るだけお知らせください」程度が限度です。届け出がなかったことについての罰則なんて設定できません。

 

そもそも大人がコロナウィルスはじめこれら感染症に感染しても、出社停止とかを定めている会社なんて存在しません。小中学がインフルエンザなどで学級閉鎖になるのは学校保健安全法という法律に定められているからであって、大人にはそのような制限がないのが実情です。

そのような状況下、マンション管理組合が出来るのは、“他の多くの居住者のために速やかに知らせてね”くらいです。

もし報告があれば管理組合には守秘義務があります。感染者の部屋番号やお名前がわからないような配慮が必要です。

そして、保健所の指示を仰ぎ、全館消毒などを実施することとなり、その際の費用は管理費から支出できると規定しておくことも必要です。

 

管理を受託したマンションでコロナウィルス感染者が現れたという管理会社さんの話を聞くことが出来ました。

たまたま感染したお隣さんから情報がもたらされ、保健所へ「○○マンションの管理を受託している△△管理会社ですが、当マンションにお住いの□□さんがコロナウィルスに感染したという情報がもたらされましたが、管理会社としてすべきことは何でしょうか?」と固有名詞を出して問い合わせたところ、親切にその後の対応をアドバイスしてくれたそうです。

間違っても保健所から、「お宅が管理している○○マンションに居住している□□さんがコロナウィルスに感染しました」なんて教えてくれることはありません。

こちらから感染者が出たので対応策のアドバイスをして、っていう場合は親切に対応してくれるようです。

 

規則には、「保健所など専門家のアドバイスにより、○○することが出来る」という文言がアチコチに出てきそうです。

 

多くの家族が一つの建物の下で居住するという形態がマンションの根本です。それゆえに、コロナウィルスというのは何とも厄介な存在です。