マンション管理士の独り言・・・1126

マンション管理士の独り言・・・1126

 

「学習していない?」

 

設計士の話です。何度も分譲マンションの設計を手掛けている割には余計なものを作ります。入居が始まってしばらくすると無用の長物となるのが分かっていながら、また設置しています。

特にエントランス前や横の設えに無駄なものを作りたがります。

パンフレットに載せるのに“写真映えする”“外観の印象が良くなる”ってものです。

 

具体的に言えば、エントランス周りの外壁や床面に水の流れを設えます。

更にスポットライトを当てたり、床に組み込んで幻想的な雰囲気を醸し出しています。

しかし、水は厄介なものです。管理組合にとってお荷物になります。

循環させなければなりませんから、ポンプが必要です。

ポンプの寿命は3~5年程度ですから、その都度取り換え費用が発生します。

床面に池のようなものを作る場合でも、水を循環させなければならず、定期的な清掃が必要です。落ち葉やコケを取り除かなくてはなりません。清潔にしていないとボウフラが湧いたりします。この費用は当然ながら管理組合負担です。

下関のマンションでは、分譲時からその池にカモを飼っていて、“餌やりや糞の後始末で大変”“盆や正月にも出てきて餌をあげてる”と管理人さんがこぼしています。

 

多くのマンションで、第1回目のポンプ交換時に水を流さなくなってしまいます。

ポンプ交換費用や定期的な清掃費用まで費やして池を維持しなくていい、と言う意見が大半を占めるようになります。

入居当初は稼働していた水の流れですが、実際に水が流れるのはポンプ交換時までというのが定番になっています。

設計士もこんなことは分かりきっているはずなのに、販売時の見栄えを最優先するのでエントランス周りに水を流す設えを作っちゃいます。

 

無用の長物と思えるものに、来客用駐車場もあります。来客用駐車場はとにかく管理が難しい。

“いつも決まった車が停まっている。”“近隣の月極駐車場借りればいいのに”“2台目の駐車場として貸し出せば賃料収入になるのに”というご意見が出されて、入居者間のトラブルに発展します。

また、“いつも決まった車が停まっているって意見してるのに管理人さんは何も注意しない”というクレームにもつながります。

以前と違って管理人さんは注意しません。“入居者やその関係者と極力トラブルのならないように注意などしなくて良い“というのが最近の管理会社さんの指導です。

子供さんに注意しようものなら逆切れされて、後でフロントマンが頭を下げに行く羽目になった、ということが頻繁に生じています。

 

それがあることで、その分購入費が高くなっている、そして維持管理費がかかり、それは当然管理費からの支出となる。見栄えだけはいいが、使い勝手が悪い、住民間でのトラブルの種になる。

こんな設備は不必要と分かっていながら、設置するのは止めてよ、設計士さん・・・です。