マンション管理士の独り言・・・1128

マンション管理士の独り言・・・1128

 

「議決権総数と、議決権総数+区分所有者数」

 

立て続けに管理規約の改正に携わっています。

用紙に3つの縦割り表を挿入させ今までの旧規約を左端に、真ん中に新規約を、右端に改正理由を記載します。

標準管理規約が改正される際のやり方通りです。

新規マンションの原始管理規約ではなく、既に生活が始まって何年も経過している管理組合さんの規約改正ですから、理想論ばかりの美辞麗句が並んだ“絵に描いた餅”管理規約でなく現状の生活を反映させたものにしなければなりません。

 

管理規約の改正は、区分所有法により議決権総数及び区分者総数の4分の3以上の賛成が必要です。

“この管理規約はとても良いので改正しにくいように5分の4にしよう”とか、反対に“その時々の情勢に柔軟に対応できるように3分の2にしとこう”とかはダメです。

規約改正については区分所有法第31条1第1項で定められており、しかも強行規定ですから、承認の数を変更することは認められていません。

 

普通決議の場合、承認の要件は区分所有法と標準管理規約とで異なります。

区分所有法では、議決権総数に加えて区分所有者の過半数の賛成が必要です。

仮に10戸のマンションでAさんが1戸、Bさんが1戸、Cさんが8戸所有していたとします。

Cさんがその議案に賛成した場合、議決権総数10に対しCさんの議決権8ですからクリアとなりますが、区分所有者数に関しては3人中1人だけの賛成ですから、要件を満たしていません。従ってこの議案は否決となります。

大地主が等価交換などで多数の住戸を保有することになっても、その人の専横を防ぐために考えられたものです。

 

これに対し標準管理規約では、総会出席者の議決権総数の過半数で承認となります。

総会の定足数は議決権総数の半数以上ですから仮に100議決権のマンションの場合、委任状+書面行使者+実出席者で50議決権あれば総会は有効に成立したとなります。

そして議案は出席者の過半数です。つまり50に対しての過半数ですから26で承認となっちゃいます。

また、承認要件には区分所有者数が入っていないことも要チェックです。

複数住戸持っている大口区分所有者の意見が通りやすくなっています。

同じく普通決議でも、区分所有法と標準管理規約とではこんなに大きな違いがあります。

 

標準管理規約作成段階で、区分所有法通りではハードルが高すぎて普通決議でさえなかなか承認にならないという管理会社さん団体から“泣き”が入り、現実的な総会参加者の過半数に変更と、“国交省が鉛筆を舐めた”というのが実態のようです。

以前は大英産業さんは、普通決議成立要件を議決権総数の過半数としていましたが、サンパークシティ守恒から総会参加者の過半数とハードルを下げちゃいました。

 

大英産業さんはサンパークシティ守恒からですが、積水さん、三菱地所さん初め大手デべさん、市内デべさんに至るまで全部、標準管理規約通りとしています。

それ故ほとんどの普通決議は承認されます。議案作成する理事会はよく勉強しなきゃです。