マンション管理士の独り言・・・1133

マンション管理士の独り言・・・1133

 

「ADRその2」

 

前回に引き続きADR(裁判外紛争処理)です。

ADRのいいところは、原則非公開でさらに当事者には守秘義務が課せられており、裁判のように公になることはありません。

“あそこのマンションは裁判沙汰になっている”なんて風評が出て資産価値の低下を招くことを心配する組合員が少なからずいますが、その恐れはありません。

 

また、裁判に比べて費用が激安です。申立手数料は1件について11,000円(税込み)。

あっせんや調停が整わないと委員(弁護士)が思ったときは打ち切りとなり、その時は半額返ってきます。

成立手数料は、100万円までが8%、100~300万円までが5%+3万円、300~3000万円までが1%+15万円、3000万円~0.5%+30万円と、明朗会計です。

成立手数料は、申立人と相手方で折半です。

 

北九州の場合で、マンションに関するトラブルは、そのほとんどが福岡県弁護士会しか取り扱いできないと思われますが、ここではあっせんと仲裁のみです。調停は取り扱われていません。仲裁委員には、建築に詳しい弁護士さんが就任します。裁判の場合、勝つ気でいるなら弁護士さんに依頼すべきですが、ADRの場合は理事長でも行えます。その分費用が安く抑えられます。これ以外にもとっておきの秘策もあるような・・・。

 

仲裁の場合、それで良いと双方が合意(仲裁合意)すれば、後になってやはり合意内容が気に入らないといって裁判に上訴することは出来ません。合意後は確定力があります。

あっせんも仲裁も、3~4回程度のあっせん(仲裁)行為を目途にして結論出すように行われます。徒に結論出るまで長い期間が費やされる、はありません。

 

ADRの1番の特徴は、相手方の応諾が必要ということです。申立人のあっせん又は仲裁申立に対し、“そんなの受けないよ”っていうのもアリです。

しかし建設性能保証を取得し、あるいは住宅あんしん保証に加入していて、重要事項説明書に「本マンション購入者は、ADRを利用することが出来る」って記載している会社が実際にADRを申し立てられた際に、それを受けないっていうのは、企業倫理に反するというか、見っともないったらありゃしない、です。

 

ここまで見れば、ADRいいじゃん、って思うかもしれませんが、実際にADR申立まで行うとなると理事会は頻繁に開催しなきゃ、ですし、総会も3回くらい開催しなければいけません。更に申立後にも仲裁委員から出された案で合意するのか、しないのか、などについても総会の開催が必要です。

 

ADRもつぶやき主の守備範囲に加わりました。ADR申立そのものは裁判に比べてずっと簡易ですが、やはり申立に至るまでの組合員の合意形成や総会などの手続きは煩雑です。

輪番で役員に就任する理事会さんや売主さん直結の管理会社さんでは、これら手続きを遅滞なく、漏れなく行うのは無理です。

餅は餅屋に!です。