マンション管理士の独り言・・・1135

マンション管理士の独り言・・・1135

 

「町内会と管理組合の違い」

 

町内会と管理組合の違いは数多あります。町内会というのは地域とのコミュニティ形成やお年寄り・お子さんの見守り活動、更には防災や安全に資することが主な活動内容です。

最高裁判例で、町内会への加入は強制できませんが、大規模災害が多い昨今、町内会の重要性が見直されています。

これに対して管理組合は、そのマンション購入者全員の共有である敷地や共用部分の維持管理を行ない、マンションで生活する上でのいろんなルール作りを行うことが主たる任務です。

管理組合の場合、組織率は100%です。“あの人が理事長になっているような管理組合には入らない”っていうのは通りません。反対に“あの人は管理組合活動に熱心でないから除名する”なんていうことも出来ません。

これは区分所有法にも管理規約にも謳われています。

最近は変な輩が多いのでしょう、“マンション竣工当時に存在する管理組合が唯一のものであって、他の管理組合を設立しようとしてはいけない”なんてことをわざわざ規定している管理規約を見かけることが増えました。

 

何故、町内会では加入が任意なのに対して管理組合が強制加入なのか?っていうと管理組合はマンション購入者全員の共有物の管理を行うのが主な任務だからです。

町内会のメンバー同士は共有関係にはありません。

これに対してマンション管理組合は敷地や共用部分に関して組合員は共有関係にあります。例えば自転車を3人でお金を出し合って購入した場合、この3人は自転車に関しては共有関係となります。全員が均等に使用するけど一人だけが管理に要する費用(例えばパンク修理費)を負担しないとかは有り得ません。

その自転車を売却する際に1人で売却先や金額をサッサと決めてしまうなんてこともあり得ません。

その自転車は3人で買った3人の共有物だから維持管理や処分の際には全員の意見を聞かなきゃですし、全賛成が必要な場合だってあります。

 

マンションも同じです。持ち分割合は違えども共有関係というのは同じですから、維持管理も全員で行わなければならないし、処分行為に際しては意見を聞かなきゃです。

また、共有物を使用するのに妨げになるような行為は禁止されています。

“区分所有者全員の共通の利益に反するような行為をしてはならない”って区分所有法に規定されています。共有物の管理に関しても管理組合で決めることが出来ます。

このため“ピアノを弾くのは朝9時から夜8時までの間に限る”とか“ペットを飼育する際は1住戸2匹まで”ということを決めることが出来ます。

町内会で“町内会エリアではピアノを弾くのは朝9時から夜8時までの間に限る”なんて決めることは出来ません。ペットについても同様です。

ピアノを朝6時に弾けばご近所からヒンシュクは買うでしょうが、別に法律や条例に違反していないので町内会長さんから“朝6時にピアノを弾くな”なんて言われることは有りません。

 

マンション内でもピアノを朝6時に弾くことは法律や条例に反しているわけではありませんが、使用細則で決められています。使用細則違反です。

何故法律や条例で禁止されていないことを管理組合で禁止できるのかというと、根源的には共有関係にあることに起因します。

 

共有は紛争の母とは言いますが、共有関係だからこそ、その使用ルールを決めることが出来るというメリットもあります。