マンション管理士の独り言・・・1140

マンション管理士の独り言・・・1140

 

「駐車区画割り」

 

申し込み時、売買契約締結時、或いは、入居説明会時、内覧会時などマンション購入していずれかのタイミングで駐車区画が決まります。

実際にはまだ出来上がっていない区画を平面図などを拠り所にして、エントランスに近いからなどの理由で決めていきます。

営業マンも早期売却のセールスツールとして、“駐車区画は先着順ですから、早くマンション購入したほうがいい区画を抑えられますよ”などと煽ります。

だからと言って後の方でマンション購入した人が悪い区画なのかというと、そうとは限らず、販売センターではちゃんといい区画を確保しています。

それでなくても売れ残り住戸は売りにくいのに、悪い区画だと輪をかけて売れなくなっちゃいますので、いい区画をストックしているのです。

 

入居後自分で選んだ区画に駐車しますが、“こんなはずではなかった”と思う方が少なからずいます。

先ずは、桜の木の下の区画です。“桜の木の満開時、自分の車が止まっていれば映えるだろう”みたいな感じで選ぶのでしょうが、樹液・毛虫・落ち葉などの被害で直ぐに場所変更してほしいと泣きついてきます。場所変更は無理。

定期的に区画変更の抽選を行っている管理組合もないわけでもありませんが、住戸を売却・貸与でもしない限り、ず~っとその区画で我慢するしかありません。

 

続いては、区画に隣接してレンガ造りの花壇などがあり、車のドアがそのレンガに当たり、窮屈な乗り降りになってしまう場合。

通常、端の駐車区画は中の区画より10センチ程度は幅を確保するのですが、それでもレンガが邪魔してドアが少ししか開けられないって状況です。

仕方ないから花壇側を空けて、反対側に寄せて駐車すると隣の区画利用者から苦情が出たりします。

管理組合では、「車両を駐車する際は、区画の一方に寄せずに真ん中に停めるようにしましょう」と張り紙掲示しますが、効果はありません。

 

この区画利用者からは区画移動の申し出よりも、“乗り降りに邪魔にならないように花壇を低くしてくれ”或いは“花壇を撤去してくれ”という要請が出されます。

しかし理事会ではこの要請を却下します。

“その区画よりももっと使いづらい区画がある”“機械式駐車場には車両のサイズ上限がある”“区画にあったサイズの車を買わないのが悪い”などのご意見です。

 

また、大きな車両同士が横に並ぶ時もクレームが発生することがあります。これはどうしようもないので、当事者同士で解決してくださいって言うしかありません。

 

エントランスに近い区画では、少しでも近道しようと車両と車両の隙間を買い物袋もってすり抜けていきます。車がこすれたってクレームも入ります。

「車両間をすり抜けずに、歩道を通りましょう」って掲示物もあまり効果がありません。

 

柱や花壇のコーナーに車がぶつかっても被害が出ないように緩衝材を巻いてくれっていうご要望も出されます。これくらいは何とかできそうですが、危険と思われる個所全てに行わなければなりません。

 

上記については、計画段階からもう少し配慮がなされている設計をしていれば防げていたものばかりです。それが一旦引き渡しが終わり管理組合が管理するようになると簡単に変更できなくなっちゃいます。

それをわかっているのかな?