マンション管理士の独り言・・・1149

マンション管理士の独り言・・・1149

 

「ふざけた、は・な・し」

 

契約行為などで他人や企業との間でトラブルになった際、それを解決するには裁判手続きによるしかありませんでした。

しかし、実際に裁判手続きにまで発展するのはトラブル全体の10%に満たず、多くの場合は、「忘れる」「あきらめる」でした。

消費者重視の観点から、トラブル解決の手段として裁判手続きだけでなく、もっと利用しやすく、お金や時間がかからない方法を作ろう、ってことで、裁判外紛争解決手段としてADRが制度化されました。

ご当地では、分譲マンションに関連して売主との間の売買契約上のトラブル解決の受理機関は、福岡県弁護士会紛争解決センターです。

ただし、どんなマンションでもADRが利用できるかというとそうでもなく、建設性能保証などを取得しているマンションです。

目安とすればここ10年くらいのうちに竣工引き渡しされたマンションです。

 

ADRが利用できるかどうかは重要事項説明書に明記しています。

売主からすれば、「売買契約上トラブルが発生したときは、今までのように裁判上の手続きだけでなくADRが利用できるマンションですよ。裁判というハードルの高い手続きを取らずにもっと簡易なADRが利用できるんですよ。当社やこのマンションは消費者重視ですよ」を謳い文句、セールストークにしているとも言えます。

謳い文句、セールストークにしているからADRが利用できるかというと、実際はそうでもありません。“看板に偽りあり”です。

 

ADというのはを申し立てられた相手方(売主)は断れる仕組みになっています。

つぶやき主は実際にADRに応じない売主に出くわしちゃって面くらっています。

建物の不具合があり何度補修要請してもあれやこれや屁理屈を言いつのって補修要請に応じません。

しびれを切らして管理組合がADRを申し立てても、応じないという体たらく売主デス。

申し立てに応じて、正々堂々と自社の意見を述べればいいのに、と思いますが、少しでも申立人(管理組合)の言い分が認められたらどうしよう、ってビビッているのでしょう。

 

重要事項説明書には「当マンションは建設性能保証を取得しているのでADRが利用できます」だけでは不十分です。

正確に「当マンションはADRが利用できる建前となっていますが、申し立てにいつでも応じるわけではありません。ちょっとでも当社に不利な判断をされる可能性ある時は、断わっちゃいます」と記載しなければなりません。

 

“裁判を受ける権利”は憲法で保証されています。ADRは、裁判外紛争解決手段ですから、申し立てについて相手方に拒否権を与えないと、“裁判を受ける権利”を侵害することになっちゃいます。

支払い督促や少額訴訟も相手方は拒否できます。その場合は、普通裁判へ移行するのと同じ理屈です。理解はできますが、何となく“仏作って魂入れず”状態です。

 

契約行為などでトラブルが発生した場合、その90%は「あきらめる」「忘れる」とつぶやきましたが、それに「泣き寝入りする」を加えなければなりません。

しかし、そう売主の思い通りになるかどうか???