マンション管理士の独り言・・・1151

マンション管理士の独り言・・・1151

 

「区分所有者がマンションの工事やっちゃ、ダメ」

 

マンション竣工時は購入者皆さんは、お若かったのですが、20年も経っちゃうとそれなりのご年配になっちゃいます。

平気だった段差も上り下りにハアハア言うようになり、エントランスに手摺を付けることになりました。

数社から見積もりを取って比較検討しその中から最善な業者を選んで、「○○業者へ△△の場所へ□□の商品(自立型手摺)を**金額で発注することをご承認ください」って議案化して総会へ提案しなければなりません。

 

その時の理事のお一人が、“自分の勤め先は手すりの設置などを扱っている。自分とこでやってあげようか?”というご発言です。

この一言で数社から見積もりを取得する予定でしたが、ご発言役員さんの会社からのみ見積もりを提出いただくこととなりました。

“だって断りにくいもん”です。

 

最後に当該役員さんの意思確認です。

つぶやき主から“本当にお勤め先で受注されるんですね。上手くいって当たり前、もし不手際があったら、住民間で面倒くさくなり、住辛くなることだってあり得ますよ”と念押しです。

しばらく考えたのち、“不手際が起こるような工事でもないし、自分とこで請けます”ってご返事です。

そして工事となりました。エントランスへの自立型手摺設置です。

これが1年前の話ですが、今秋手摺の支柱10本全てに錆が生じました。

 

今期理事会では、“1年経たないうちに錆が生じるのは、ステンレス支柱に問題がある。取り替えてもらおう”という方針です。

その方針を施工した前役員さんへ伝えるのは、つぶやき主のお仕事です。

“同じマンションに住む組合員同士、言いにくいからつぶやき主さん言ってね”って理由でのご依頼です。

気が重いながらもそのことを前役員さんへお伝えしても、“ヘアーラインだから少しは錆が出るんだよね。”“サンドペーパーで磨いたら奇麗になるよ”ってあまり前向きでないお返事です。

 

“手摺工事を受注して工事したのは前役員さんの勤め先であって、前役員さんではありません。またお勤め先の設置工事に不手際があったのではなく、その手摺支柱メーカーの製品そのものに問題があるのでしょう。そのような文章を作って施工会社(お勤め先)へお送りしましょう。また前役員さんは本件に関し、利益相反になるのでヤンワリと担当を変えていただきたいという事も付け加えましょう“とつぶやき主から理事会へアドバイスです。

 

やがて回答が返ってきますが、表題のセリフになります。

「区分所有者がマンションの工事やっちゃ、ダメ」

例え、安くできるから、いい工事になるから、という理由があっても、上手くいって当たり前、ちょっとでも不手際あると他の住民から白い目で見られます。

 

やってあげた方は、“安くていいものを丁寧な工事で仕上げたのに”なんて思うのでしょうが、“自分の住むマンションで儲けてる”とか“もっと丁寧な仕事をしてほしかった”って声が聞こえてくるものです。

区分所有者が自分の住むマンションの工事をすることは、例えそれが小さな工事であっても、おススメしません。