マンション管理士の独り言・・・1153

マンション管理士の独り言・・・1153

 

「水勾配・雨仕舞」

 

当たり前ですが、水は高いところから低いところへ流れていきます。

この自然の摂理を取り入れてマンションも造られています。

バルコニー手摺際の雨水排水溝(薄い青のウレタン塗装部分)にも高低差を付けて、一番低いところにドレンを設置して雨水がそこに流れ込むようにしています。

また、バルコニーもリビングサッシュ際を一番高く設定し、手摺際の雨水溝を低く設定し、そこに流れ込むようにしています。

少なくとも設計ではそのようになっています。

 

しかし残念ながらそのような施工になっていないマンションが最近増えてきているような気がします。

バルコニー手摺際の雨水溝がほとんどフラットで雨水が流れず、常に水が滞留する箇所があり、そこに緑色の苔が生えてきています。

バルコニーサッシュ際から雨水排水溝までの勾配はとれているのですが、途中で盛り上がった個所があり、窪んだところに水が滞留してしまい、防滑シートの下部に回り、下階のバルコニー上裏に白華現象が現れるといった状況です。

 

同じことが開放廊下にも見られます。玄関ドア際を一番高く設定し、手摺壁際を一番低く設定しそこに雨水を集め処理するようになっていなければならないのに、そのような施工になっていないマンションが散見されます。

設計ではなく施工ミス、手抜きではなく精度の低い施工、職人さんが何も考えていない施工、技量がない施工です。

その上、現場監督さんも監理建築士も何も気が付かず、杜撰な社内検査を通り抜けた結果です。

現場監督さんや監理建築士さんは気付いたかもしれませんが、引き渡し時期が迫ってきているので今更手直しできない、ってことかも知れません。

コンクリート打設時に勾配が取れていないか、あるいは凹凸が出来るような下手くそな“馴らし”になっているのかだと思います。凹凸あればグラインダーで削ればいいのでしょうが、工期の関係でそれも行わず、防滑シート貼ってしまったのかって感じです。

 

また、エアコンドレンレール際からの下階への漏水もよく見られる現象です。

防滑シートはエアコンドレンレールの下には施工されていません。ドレンレールにくっつけられた施工です。接合部はシール処理です。

そのドレンレールが、下のコンクリートが盛り上がっているためドレン水が流れ切らず、窪んだ部分に水が溜まってしまいます。

その結果ドレンレールと防滑シートをくっつけているシール部分から下階へ漏れてしまうという現象です。

 

また、マンション平面駐車場のアスファルト舗装でも同様です。凹凸があって窪んだところに雨水が溜まります。この手直しはなかなか厄介です。窪んだところを埋めると別の場所に窪んだところが現れる、ってなります。手直し中は車両の移動だって必要です。

初めにきちんと施工しとけよ、って感じです。

 

豪雨時には前面道路からエントランスへ大量の雨水が流れ込み、役員さん総出で土嚢をエントランスドア下に運び込むってマンションも2つ知っています。

 

水勾配が取れていない、雨仕舞ができていない状態で引き渡しされると管理組合は大迷惑です。