マンション管理士の独り言・・・1154
「瑕疵担保責任」
瑕疵というのは、隠れた傷のことです。
不動産業者が開発した分譲マンションの場合だと、引き渡し時点では売主・買主双方ともに完全なものであると思って引き渡しを行ったけれど、入居してみると傷や不具合があったという場合に、その責任は売主にあると定めたものです。
その期間は宅地建物取引業法(通称:宅建業法)により引き渡し後2年となっています。
民法では、買主がその瑕疵に気が付いて1年間が期限なのですが、例えば引き渡し後10年目に気が付いてそれから1年間、では売主さんにあまりに酷なので引き渡し後2年間とされています。
しかしこの2年間という期限も住宅の品質確保に関する法律(通称:品確法)により雨水の侵入を妨げる部分や建物主要構造物ついては10年間とされています。
大事なことは、この瑕疵担保責任は無過失責任とされていることです。
売主や施工会社が十分注意を払っていて、瑕疵があることに対して全く落ち度がなかったとしても売主の責任は免れません。
買主保護の立場から、瑕疵の責任は売主にあると定められています。
この瑕疵担保責任は専有部分のみならず共用部分に関しても同じです。
新築マンションの場合、当たり前のように完全なものとして引き渡しを受けていると思いますが、実際はそうでもありません。
排水管からの水漏れや詰まりはそれほど多くはないのですが、存在します。
排水管の流れが悪いなと思って、排水管洗浄の洗剤などを利用してもなかなか改善されない。仕方なく管理会社へ相談してみると配管中からコンクリートの塊が出てきた、なんてこともあります。
反対に何故か異臭がするということで調べてみると排水管に釘が刺さったようなピンホールがあり、そこから漏れていた、などもあります。
しかもそれが汚水だったので、床から壁に至るまで内装全部やり直したという事例も複数知っています。
エントランス横の植栽部分が陥没したので、原因を調査すると植栽時の転圧で排水管が脱管していたこともありました。
分譲マンションは竣工までにいろんな職種の多くの職人さんが入って工事を行っています。人が造ることですから間違いや施工ミスもあります。
施工ミスでなく質の悪い職人さんがわざと意趣返しするような事例もあります。
いつも監督さんにガミガミ言われていたのでしょう、わざと排水管の中に1mくらいある発泡スチロールの棒を入れているような事例もありました。
わざとや、悪意ある場合を除き職人さんのついうっかりなどで瑕疵は発生します。
新築物件だから、すべてキチンと出来上がっているとは思いこまない方がいいと思います。
ちょっと様子が変だなって感じたら、自分の掃除の仕方が足りない、その設備の使い方が悪いと安易に決めずに、管理会社さんに相談してみることをお勧めします。