マンション管理士の独り言・・・1170

マンション管理士の独り言・・・1170

「ゴミ置き場」

マンションを新たに建設する場合、ゴミ置き場をどこに設置するかについて事前に環境局と打ち合わせを行います。

清掃車が近隣のゴミを回収するルートから外れないように、効率よく回収できる場所に設定されます。

ゴミ置き場は基本的には公道に面したヵ所で、道路との高低差のない個所に設置されます。回収後Uターンしなければならないようなマンション敷地内などは設置が認められません。大きさ・広さ・高さにも基準があり、最低でも2㎡以上、1住戸増えるごとに0,1㎡の広さを確保しなければなりません。

また、作業員が立って回収作業できるように2m以上の高さと、ドアの開口部も2m以上が必要です。

これらの条件を満たしたうえで設置されるわけですが、マンション居住者の快適なマンションライフを確保し、またマンションの外観やデザインも考慮する必要があります。

マンションの顔ともいえるエントランス横にごみ置き場を設置するような売主さんはいないはずです。

外観やデザインを考慮し、道路には面しているものの、あまり目立たないところにひっそりと設置されます。

また、居住者の快適性を損なわないように臭気が漂ってくるような場所も避けるべきです。

臭突を居住空間のすぐそばに持ってくるようなことは行いません。

方位にも気を付けなければなりません。

清掃車が回収に来るまでの間は、ゴミ置き場に大量のゴミが出されているわけですから、夏などは異臭がしやすくなります。

間違っても日当たりのよい南面などに設置するべきではありません。

南面はマンションの“売り”そのものですから、ゴミ置き場など設置せずに居室+バルコニーや専用庭にしています。

しかし稀に日当たりのよい南面にごみ置き場が設置されているケースがあります。ごく稀にです。

南側ですから夏場などの臭気対策が必要です。

このため自然臭突でなく、換気扇を用いて強制的に排気する設備が必要になります。

排気口はどこに持ってくるのでしょう?

ゴミ置き場は当然道路に接する1階の設置されます。

そのまま臭突を立ち上げると2階の住戸のバルコニーの真ん前になってしまうので、これでは2階の居住者は臭くて生活できません。

そこで1階のゴミ置き場からはるか遠く離れたマンション屋上に排気口を設けます。

屋上ならば、マンション居住者が異臭を感じることはないはずです。

しかし、1階のゴミ置き場に設置されている換気扇だけでは屋上の排気口までは到達できないので排気口の方にも吸引する設備が必要となります。

北側にひっそりと設置すればいいものを、わざわざ南側にごみ置き場を設置したために換気設備が2か所。1階から屋上までの排気ダクト工事費用などのイニシャルコスト。さらには換気扇を稼働させる電気代。メンテナンス費用など、もろもろのランニングコストがかかります。

イニシャルコストはマンション分譲代金に上乗せされ、電気料金・メンテ費用は毎月の管理費で賄われます。

ゴミ置き場に限らず、売主さんや設計士さんはマンション購入者に余分な負担・費用を掛からないように心掛けなければなりません。