マンション管理士の独り言・・・1172

マンション管理士の独り言・・・1172

「修繕できないタイル その②」

八幡東区のマンションです。外壁タイルを叩かせてもらいました。新築間もない割には多くのタイルで浮いた音が聞こえます。

まだ現場事務所があったので監督さんへ伝えると、通常とは異なった貼り方、接着剤を使用しているので、浮いた音がするけれど、浮いているわけではなく躯体にしっかりと接着されています。との返答です。

そのような新しい工法は知りませんでしたので、懇意にしている1級建築士や1級建築施工管理技士へ問い合わせても、皆「そんな工法知りません」とのことでした。

加えて、「大規模修繕工事時に、どのタイルをピンニングするのか?どのタイルを貼り替えるのか?どうやって見分けるんでしょうね」とも言われました。。

ピンニング補修や貼り替える必要がないのかな、と思い長期修繕計画を見てみると15年目に全体の3%のタイルの貼り替え費用が計上されています。さっぱりわかりません。

どのタイルが浮いていて補修が必要なのか?貼り替えが必要なのか?どうやって判断するのでしょう。

何年たっても貼り替える必要がないほど接着効果が絶大で、しかも持続するタイル貼り工法ならばウェルカムです。

しかし数年ごとに貼り替えや補修が必要ならば、劣化が判定できるような工法でないと管理組合は困ってしまいます。

大規模修繕工事時に、管理組合さんはどうするのでしょう?工事を請け負った業者さんはどのように劣化診断するのでしょう。

最近の居室の内装仕上げは、ふかし壁工法が一般的になりました。

コンクリート躯体に木軸を組み9mmの石膏ボードを貼り、その上にクロスを貼ります。

以前はコンクリート躯体そのものにクロスを貼っていました。この工法では下地であるコンクリート表面を平滑にする手間が必要でした。

平滑でないままクロスを貼りこむと所々に凹凸や突起物が出て、内覧会時に指摘を受けて貼り替えなければならないことが頻発していました。

これに対し、石膏ボードが下地の場合は、ボード表面は平滑なので、下地処理がそれほど必要でなくキレイに仕上がります。

良いことづくめの様ですが、ふかし壁工法にも欠点があります。

コンクリート躯体にクラックが生じても外からはわからないというものです。

コンクリートに直にクロスを貼っている場合には、コンクリートにクラックが入るとクロスがそれに沿ってヨジレテしまいますので、一目見ただけでコンクリート躯体のクラックがわかります。

不具合ヵ所が分かれば早期に・最善の方法で補修を行うことが出来ます。不具合ヵ所が分からなければそれだけ補修までの時間がかかり費用だって嵩みます。

最悪の時は、補修不可能ってことにもなりかねません。

人間と一緒です。ケガしても血が出なかったり、腫れなかったり、痛みを感じなければ治療が遅れます。手遅れになってしまう場合だってあります。

見た目も大事ですが、不具合が分かりやすい仕上げも大事です。その辺のバランスを考えて工法を考えてもらいたいものです。