マンション管理士の独り言・・・1173

マンション管理士の独り言・・・1173

「○○って売主どうよ?」

ネットなどで「○○って売主どうよ?」って質問を見かけることがあります。

これに対し、“おしゃれな外観のマンションが多い”“設備が充実している”なんて肯定的な意見から、“アフターサービスが悪い”“営業マンが売りっぱなし”“遮音性能が悪い”のような否定的な意見もあるようです。

匿名性があってか、どちらかと言うと否定的な意見の方が多いようです。

しかし冷静に考えてみると、この「○○って売主どうよ?」っていう質問自体がナンセンスです。

新築マンションでは、最終的にそのマンションの一住戸を購入する買主(=購入者)に対し、売主(=事業主、デベロッパー)がいます。

しかし売主はそのマンションを施工したわけではありません。

そのマンションを施工したのは売主からマンション建築を請け負った建設会社です。

また、建設会社はそのマンションを設計したわけではなく、設計は設計会社である1級建築士事務所が行っています。

さらにその設計事務所は、設計通りに施工されているかどうか施工監理も行います。

もっとも設計事務所は、“こんな外観にしたい”“この設備を付けたい”“3LDKと4LDKの比率はこうしたい”“容積率目一杯使った戸数の確保”などさまざまな売主の意向を反映した設計を行います。

そして出来上がったマンションの管理を行うのが管理会社です。

そこで、「○○って売主どうよ?」という質問ですが、仮に出来上がりの施工精度が低い場合、一時的には下手っぴいな工事をした建設会社が悪く、続いてそれを見逃した設計会社がお粗末なのです。

また、不具合ヵ所を補修しなければいけなくなった時に実際に補修工事を行うのは施工した建設会社です。

売主はただ単に苦情の受付を行うだけで、実際に補修工事を行うのは施工建設会社です。

なかなか補修を行わないのは、売主というより建設会社の方に大きな問題があります。

また、設備が陳腐だったり、外観が貧弱なのも全てが売主のせいではありません。

良い設備を付けたり、見栄えのいい外観にするにはそれだけコストがかかります。

極言すれば、「この立地で・この外観で・この設備だからこの金額です」です。

アフターサービスや補修工事の迅速性には、売主と施工建設会社との力関係もあるような気がします。

普通ならば工事を発注した売主が建設会社のお客さんなわけですが、発注金額を叩いて叩いて安価で請け負わせたりしたり、年度末の3月に必ず竣工させるために工期が十分でない場合など、補修工事をなかなか実施してもらえないというシワ寄せが最終的に買主(購入者)へ来てしまいます。

さらに、たった一度マンション建築を依頼した売主と、今後も引き続きマンション建築を発注してもらえそうな売主とでは、建設会社も補修工事についての取り扱いに差が出てくるのも仕方ありません。

購入者からのクレームに対する建設会社の補修のスピードが、各デベロッパー(売主)さんによって大きく異なります。

同じ建設会社であっても、Aデベさんに対してはクレーム処理が早くて丁寧だが、Bデベさんに対しては、遅いし粗雑な扱いかな、って思うことがあります。 大きくは施工建設会社さんへの発注金額かな?って邪推しています。