マンション管理士の独り言・・・1177
「つまるところマンションは人の集まり」
甲マンションでは、長いことAさんが理事長をやっていました。
Aさんは人望も厚くこのマンションに住む多くの人は立派な人が理事長やってくれて良かった、と思っていました。
しかし長年理事長を務めるうちに弊害も見えてくるようになりました。
自分のお気に入りの人の住戸で不具合があれば管理組合で対処してあげるけど、そうでない人へは“自分でやってくれ”みたいに依怙贔屓が目に付くようになってきました。
また、補修工事についても発注先が偏っている、不自然に高額な発注額などが目立ってきました。
そこでAさんの不正を暴くべくBさんが中心となり有志数名でつぶやき主へ相談に来られました。
総会議案などを調べてみると、手続き的に誤っていたり、総会で承認を得るべきものを独断で実施していたりの事案が散見されます。
管理費を流用していたかどうかは定かではありません。
Bさん等は、管理の適正化を図る目的でAさんの追い落とし工作を始めます。
お互いに組合員へ言い分を郵送するなど中傷合戦みたいになりましたが、Aさんは翌年度の理事長には立候補せず、AさんともBさんとも等間隔で接していたCさんが理事長に就任しました。会計には、これも中立的立場のDさんが就任しました
CさんDさんは管理組合活動を粛々と進めていましたが、Bさんは個人的な恨みもありAさんの不正を過去に遡って調べるよう再三にわたりCさんに意見します。
総会でも半ばCさんDさんを罵倒するような言葉で非難します。
Cさんは理事長の1年の任期を務めた後、このマンションを売却し転居してしまいました。
Cさんの後をついで理事長に就任したのはBさんグループと目されていたEさんです。
会計は前年度に引き続きDさんが就任しました。
Bさんは気心の知れているEさんにAさんの理事長時代の不正を追及するよう迫ります。しかしEさんはこのような管理組合内部での対立を解消しようとDさんと協力し、“帳簿などを精査したがAさんに不正はなかった”と宣言し、組合員へその旨郵送などで知らせました。
Bさんは気に入りません。“きちんと調べていない、表面をサラッと確認しただけだ”といってEさんを非難します。
Eさんは疲れ果てて、住戸を売却してしまいました。
Eさんが組合員でなくなったので、非難の矛先がDさんへ向かいます。そしてDさんも嫌気がさしたのか、住戸を売却してしまいました。
その次年度の理事長に就任したのは、完全にBさんに染まっているFさんです。
FさんはBさんと協力し管理組合活動を行っていましたが、BさんがAさんの不正を追及するがために会計事務所・弁護士事務所など各所へ理事会の承認なしに勝手に相談料を支出していたことが露見しました。
Fさんはじめ理事会では、この支出を適正と認めずBさんへ返還請求を行いました。
Bさんにも言い分があり、素直にこれに応じません。
そして遂にBさんも住居を売って転居してしまいました。
Bさんが転居するのを待っていたかのようにAさんが理事会へいろいろと意見を出してくるようになりました。元々長く理事長をしていただけあってご意見にはもっともな部分もあります。
今この管理組合ではかつてBさんにより追い落とされたAさんが中心となり、Bさんへの損害賠償請求を行っています。
この4年間で、理事長経験者が2名転居し、会計理事1名が転居。理事1名が転居してしまいました。
結局のところマンションというのは人の集まりで、人間関係が重要です。
とても疲れた案件でした。