マンション管理士の独り言・・・1178

マンション管理士の独り言・・・1178

「つまるところマンションは人の集まり  その2」

地下駐車場があります。地下に駐車場がある場合、消防法では通常の消火器ではなく、泡消火設備が必要になります。

発火性の高いガソリンを搭載した車両が何台も駐車していますので、もし火災が起きた場合、放水により被害が拡大しないように薬剤の入った泡で消火します。

マンションの場合、地下などの屋内駐車場が該当します。

泡消火設備は、その下に水を貯めておくプールや薬剤が入ったタンク、ポンプやスプリンクラーのような放出口などから構成されます。かなり大掛かりな設備です。

これら設備はマンション居住者が駐車場として利用するために必要なものであり一般的には共用部分に該当します。

共用部分なのでこれら設備の維持管理は管理組合が行うこととなり、したがって消防点検などの費用負担も発生します。

他方管理組合にはこの部分の駐車場使用料が収入されます。

屋内駐車場なので屋外駐車場に比べて高めの料金も設定できます。

ここまでならば、何も問題ないかのようですが、残念なことに北九州では大きな問題となってしまいます。

この地下駐車場を分譲しているからです。

大事な愛車が雨ざらしにならない地下駐車場ですから、分譲時に区分所有者へ高めの金額で売ることが出来ます。

売れたお金は、マンション売主である不動産屋に入ります。

一方で地下駐車場を購入した区分所有者は、当然ですが月々の駐車場使用料なんて払いません。

管理組合からすれば、駐車場使用料が入ってこないのに、管理だけは押し付けられているという形となります。

そしてこの泡消火設備が壊れた場合が厄介です。古い設備の場合、タンクにピーフォスといって発がん性のある薬剤も含まれていることがあります。

漏れ出しても直ちに人体に影響を及ぼすってことはないみたいですが、何時までもほおっておくことは出来ません。早急な修理が必要です。

また、消防署からも改善命令が出されます。

泡消火設備の補修には、500万円~1000万円程度のお金がかかります。

この費用負担をどうするかで、住民間で意見が分かれ、対立関係にまで発展することがあります。

地下駐車場を所有していない区分所有者は、「“地下駐車場だから泡消火設備が必要なんでしょ。地下駐車場を使用する人のために必要な設備”でしょ、その設備の補修を地下駐車場を使用していない人が何故負担しなきゃならないの、その上管理組合には全く使用料が入ってこない状態だよ。地下駐車場を所有している人だけで負担すべき」というご意見です。

これに対して、地下駐車場を所有している人は、「マンション購入時に、共用部分で維持管理は管理組合が行うと聞いているよ。だから高いお金を出してまで購入したんだ。規約にも共用部分で記載されてるじゃん。地下駐車場を所有していない人もそれを分かってこのマンションを購入したんでしょ。皆で負担すべき」というご意見です。

地下駐車場を所有していない人グループと所有している人グループとで真っ二つ分かれてしまいます。

どちらの言い分もそれなりに理屈は通っているようですが、これでは話がまとまりません。お互いが歩み寄らなければ解決できません。

しかし、長い間の対立関係で、人間関係が崩れてしまい、話し合いのテーブルにさえたどり着けない状態になっちゃいます。

しかし勘違いしないでください。住民が悪いのではありません。諸悪の根源は地下駐車場を分譲して売り払ってしまった悪徳不動産屋です。

アホ、バカ、アンポンタン、オタンコナス、な悪徳不動産屋です。

悪口、まだ言い足りん!

今更、悪徳不動産屋の悪口言っても始まりません。

対立しないで解決しなきゃ、です。