マンション管理士の独り言・・・1179

マンション管理士の独り言・・・1179

「定期借地権」

東京の早稲田大学近くで東京建物さんが定期借地権付き分譲マンションを開発しているようです。通常のマンションは敷地の所有権も共有持ち分に応じて購入者へ移転します。

これに対し定期借地権付きマンションというのは、敷地の所有権はオーナーから移転せず、マンション購入者は敷地を借地として借り受ける、というものです。

定期借地権は、平成4年8月から施行された「借地借家法」により新設された権利です。

「借地借家法」はそれまでの「建物保護に関する法律」「借地法」「借家法」の3つの法律が一つにまとめられたのです。

それまでの「借地法」「借家法」は借主の権利をとても強く保護していました。

お国として“国民に最低でも住む場所くらいは確保してあげよう”ってことで借主の立場を強くしたのです。

家を建てていればその家が滅失しない限り土地を借りる権利は失われず、部屋に住まい続けていれば正当理由ない限り、追い出されることはありませんでした。

正当理由の要件も厳格に定められており、オーナー自らが住むという理由でなければほとんど認められません。

この様に、あまりにも借主の権利が強すぎるため、土地オーナーが土地を貸さず有効出来ないという状況が生まれていました。

そこで一定の契約期間が過ぎたのちは、その土地を返すということを予め書面で取り決めておく定期借地権が登場しました。

定期借地権には3種類ありますが、分譲マンションの場合は「一般定期借地権」で建築されることが多く、借地契約の期間は50年以上です。

北九州でも大谷インター近くに定期借地権付きマンションが2棟建っています。

定期借地権のメリットは、①土地を所有するマンション(一般的なマンション)と比べて価格が80%程度 ②土地の所有者でないのでその固定資産税や都市計画税を負担する必要がない ③所有していないので子供に相続などの面倒がかからない等です。

これに対しデメリットとすれば、 ①土地を返還しなければならない。 ②地代が値上がりする可能性がある。 ③契約期間満了後には更地で返すので、分譲当初より解体準備金を積み立てなければならない。 ④中古で売る際には、借地契約の残存期間が考慮されるので安価となる場合がある、などが挙げられます。

定期借地権付きマンションの場合、通常の管理費・修繕積立金以外に地代・解体積立金を負担しなければなりません。

解体積立金は、借地期限(解体する時期)によって異なりますが概ね修繕積立金と同じくらいの月額になるようです。

分譲当初は、一般の土地所有権マンションの80%くらいの価格で購入できても、解体積立金や地代などで毎月の負担が増えてしまいます。

このため平成4年の同法施行直後は、定期借地権付きの分譲マンションは結構あったのですが、それ以降は年々減少しています。

前述のように早稲田大学近くなどのように、好立地でしかも滅多に開発されないという場所でなければ、定期借地権付きマンションは開発されないと思われます。

北九州では、今後同手法で開発されることはないでしょう。

しかし、初めから解体準備金を積み立てておくというのは、良いアイデアかも知れません。

古くなりアチコチでコンクリートが剥落してる、設備も陳腐化しとても住める状態ではない、相続人も放棄しちゃった、しかしその時に解体費用が出せない、というマンションが今後増えることが予想されます。

行政含め誰も手を出せなくて廃墟として市内中心部に残るってパターンが最悪です。

今回のつぶやきはOさんのリクエストによるものです。

来社時Oさんは手土産に赤霧島(通称:赤キリ)持ってきてくれました。

「黒キリとどっちが旨いの?」って聞くと「赤キリですよ。でももっと旨いのがあるんですよ。」「何です?」って聞いたら、「これっキリ」だって 

酔いが醒めるおやじギャグ飛ばす御仁です。