マンション管理士の独り言・・・117

「先進設備の良いところと、悪いところ」

物事にはいい面と反対に悪い面とがあるようです。
マンションの最新設備にも良い面と悪い面とがあります。
悪いというより使い勝手にひと工夫いる、という言い方のほうが正解かも知れません。

今回は「オートロック」を取り上げます。
ここ20年のうちに建てられたマンションではほとんど全てがオートロックを採用しています。
部外者が簡単に建物内に入って来られないという防犯上の優れものです。
東京の方では、エントランスに2重のオートロックを採用しているマンションさえあります。
防犯上は優れているのですが、反対に困るのが、朝刊や牛乳配達や、出前物の器の返却です。新聞配達員も建物内には入ってこられません。

出前物の返却に関しては、宅配ボックスの一つをリターンボックスにして前からも後ろからも取り出せるようにしたものもあります。
余談ですが、そのリターンボックスを子供が通り抜けて遊び場にして困ったなどのエピソードもあり、最近ではあまりお見かけしません。
エントランスのオートロック前に出前器を置いているマンションもありますが、見かけが悪いし邪魔になるので使用細則で禁止しているマンションもあります。
出前器に関しては、やはり住戸まで取りに来てもらうようにしているマンションが多いようです。
出前の器に対し、朝刊配達は毎日のことですから、厄介な問題です。
これに対しては、それぞれのマンションで対応が異なります。おおむね以下のような対策となります。
① 防犯面優先でオートロックは解除しない。朝刊は集合郵便受けまでしか配達されないので、居住者はそこまで取りに来なければなりません。
② 例えば朝5時~6時の間はオートロックを解除し、新聞は各戸まで配達される。しかしその時間帯は単なる自動ドアとなり、だれでも自由に出入りできるというデメリットが生じます
③ 新聞配達員に1筆取った上で暗証番号を教える。暗証番号が漏れる可能性があります。
④ ③の進化系で、大阪で実際行われている例ですが、朝日・毎日などの新聞社合同で1人の配達員を特定し、その配達員が首からネームプレートを下げて各戸まで配達します。各新聞販売店の協力が必要です。
⑤ 管理員さんが早朝より出勤し各戸へ配るという、ケータリングサービス。管理委託料が高くなるということが考えられます。
⑥ 新聞屋さんがマンション内の特定の住戸の人と提携し、住戸内からオートロックを解除してもらい、各戸へ配布します。

それぞれ一長一短があります。オートロックというハードばかりでなく、それをどの様に
使うかという「管理」面がここでも重要になってきます。
これらの事は重要事項説明書や管理規約・使用細則にも規定されていない場合がほとんど
ですから、注意が必要です。