マンション管理士の独り言・・・1180

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「かぶり厚」

ハウスメーカーの三井ホームが東京で5階建ての木造(2×4)マンションを建てるようです。耐震性や遮音性・耐火性能など主たる部分は鉄筋コンクリート(RC造)と遜色なく、価格も抑えられるようです。

これは例外として通常分譲マンションは鉄筋コンクリート若しくは鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)で建てられます。

もっとも最近の高層マンションは鉄骨を使用しない高強度鉄筋コンクリート(HRC造)が増えているようです。

鉄筋コンクリート造というのは鉄筋+コンクリートで造る建物のことです。

英語ではRAIN FORCED CONCRETE(訳:雨に強いコンクリート)略してRCと言います。

水+セメント=セメントペースト  水+セメント+砂=モルタル  水+セメント+水+骨材(砂利など)=コンクリートです。

100のセメントペーストを作るに際しての水とセメントの配合比率を水セメント比と言います。

水セメント比55ならばで100のセメントペーストのうち55が水でセメントが45となるわけです。

水セメント比が45ならばセメントの比率55となりそれだけセメント量が多いので水セメント比55と比べ強固なコンクリートになりそうですが、水が少ないため工事が捗らないって短所もあります。

昔はコンクリートの流動性を良くしようとコンクリート打設時に水を大量に浴びせる“ジャブコン”なんてのも見かけましたが最近は見ることはありません。

コンクリートは押しつぶそうとしても押しつぶせるものでなく圧縮強度に優れています。一方、鉄筋の方は両端から力を加えれば、真ん中あたりでひん曲がりますが(圧縮強度が弱い)、引きちぎろうとしても引きちぎれるものではありません。

圧縮強度に優れたコンクリートと引っ張り強度に優れた鉄筋を組み合わせて出来たものが鉄筋コンクリート造です。

また、鉄筋は空気に触れ水に浸すと酸化して錆びちゃいます。

錆びると体積が2,4倍程度に膨張し、それで回りを覆っているコンクリートを押し出してしまいます。爆裂という現象です。

この鉄筋を錆びさせないようにPH(ペーハー)14という高アルカリ質のコンクリートで鉄筋を被覆してしまおうというのが鉄筋コンクリート造のもう一つの長所です。

しかし鉄筋を覆っているコンクリートも屋外にさらされており、酸性雨や排気ガスなどの影響で年々アルカリ質が衰えてきます。この現象をコンクリートの中性化といいます。

コンクリートが中性化してもコンクリートそのものの強度は落ちないのですが、鉄筋が錆びやすくなっちゃいます。

そこで建築基準法では鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚というのを規定しています。

第79条第1項に、壁・床は2㎝以上、耐力壁・柱・梁は3㎝以上と規定されています。(直接土に面していない個所)

このかぶり厚が確保できていないマンションが見受けられます。確保できていない場所は、バルコニー手摺の下の排水溝の一番低いドレン周りです。

雨水などを処理するためにドレン周りは一番低くしなければならない個所なので施工は難しいと思いますが、建って数年で露筋するケースが見られます。

排水ドレンというのは、水が一番集まる部位です。ここが露筋、爆裂しちゃいけません。

施工会社には丁寧な施工が求められます。