マンション管理士の独り言・・・１１８１
「マンション管理士はつらいよ」
４月から、やとわれ理事長をやってほしいというご依頼がありました。
ご依頼主は現在そのマンションの理事長さんで、もう１０年近く理事長さんをやってるって方です。
住戸を売り出すことになって、これも同じく１０年くらいやっている会計さんに相談したら、“組合員の高齢化も進みなり手がいない、この際専門家に依頼した方がいい！ってなってつぶやき主へのご依頼となりました。築４０年を超えた１２０戸のマンションです。
兎も角詳しい話を聞かせてください、って事務所までご足労いただきました。
概略は以下です。
「１２０戸だけど、そのうち２０戸は空き家になっていて所有者には連絡取れない。また２０戸は住んでいるが管理組合活動に全く無関心で、そのうちの多くが管理費・修繕積立金を滞納している。総戸数は１２０戸だから、本当は議決権総数１２０となるがそれでは組合活動が捗らないので８０とみなしている。総会では、普通決議の場合この８０の議決権からの出席者の過半数で承認としている。議案書は所有者不明住戸には届けていない。本来１２０の議決権を８０とみなす事については総会で承認されている」ということでした。
概略をお聞きしただけで大変そうなマンションです。
“よくこれまで辛抱して理事長を努めましたね”と拍手喝采したい感じでした。
しかし“ご安心下さい。今後は専門家にお任せください”とはいかないのが悲しいところです。素人さんならば良くてもお金をいただく専門家としては乗れないご相談です。
何より議決権を１２０戸→８０戸とみなす、は専門家としては認めてはいけないことです。
“８０戸全員がそれでいいと言ってる”と言われてもそれを続けることは出来ません。
“皆が良いと言っている”“長いことそれでやってきている”“この方法でなきゃ立ちいかない”なのでしょうが専門家なればこそ違法状態そのままで踏襲するわけにはいきません。
“素人さんだから仕方ないね”で済むことであっても、プロの場合何かの折に“専門家が違法状態をほおっておいていいのか”って言われると抗弁のしようがありません。
以前お世話したマンションで管理会社の怠慢で理事会の議事録を何か月も作成していないって事例がありました。
理事会は、議事録を組合員全員へ時間を空けずに配布したいというご意向で、議事録署名人としてつぶやき主が「内容に相違ありません」って署名したものを配布しようってなりました。
本来は議長（＝理事長）とその会議に出席した２名が議事録署名するのですが、持ちまわるのが手間でそれだけ時間がかかるのでプロであるつぶやき主さんの署名で済ませようってことです。それで上手くいっていました。組合員からも好評でした・・・が。
その後何年か経って、管理会社変更を目論んだ理事がつぶやき主の存在が疎ましくなったのか、議事録署名について噛みついてきました。
「組合員でもないつぶやき主さんが議事録署名人になっているのは間違っているだろ、専門家が管理規約に違反することをやっていいのか」って感じです。
お説ごもっともです。抗弁できません。
潔く身を引きました。
４０キロのところを４５キロで走っていても警察には捕まりません。本当は道交法違反ですが許容範囲かな、です。
あまり杓子定規に“管理規約、管理規約”と言いつのるのもどうかと思いますが、プロである以上、管理規約を守らなきゃ、です。この辺のサジ加減は、経験かな、って感じです。
残念ながらこの１２０戸のマンションのお話はお断りするしかありません。