マンション管理士の独り言・・・1182

マンション管理士の独り言・・・1182

「役員の決め方」

3月が年度末でその2か月や3か月後の5月や6月に通常総会っていう管理組合が多いのではないでしょうか。

4月の決算理事会で今年度の事業報告や決算報告、更には次年度の事業計画、予算案を作成します。

次年度の役員さんの選出もしなければなりません。

多くの管理組合では、輪番性で次年度の役員さんが決まります。

総会では役員さんを承認し、その後新役員さんが集まって理事長や副理事長などの役職を互選で決めることとなります。

稀に“理事長○○さん、副理事長△△さん”と役職を事前に決めておいて総会では決まった役職で承認を得るって管理組合さんもあります。

役員さんは全てのエリア、階層からまんべんなく選出しなければなりません。

例えば東棟・西棟、或いは1番館、2番館など複数の棟がある場合には、棟ごとの人数が偏らないように役員さんを選出しなければなりません。

また15階建てくらいのマンションでは、低層階・中層階・高層階からそれぞれ偏ることなく役員さんを選出しなければなりません。

仮にエレベーターメンテナンスを見直そうとする場合、低層階ばかりの役員さんだともしエレベーターが停止してもあまり生活上の影響を受けないので、“少しでも金額が安い方”に流される可能性があります。

高層階の住民からすれば、エレベーターが停止する可能性が高くなるって事はいくらコストが削減できるといっても飲める話ではありません。

また、角部屋に外側からしか洗浄できないFIX窓があったりすると厄介です。

中住戸ばかりの役員さんで構成される理事会で、管理費削減のため年2回の角部屋FIX窓清掃を取りやめようとして角部屋の住民とトラブルに発展したこともありました。

角部屋にお住いの役員さんがいなかったので、掃除が出来ないという現状がよく理解できていなかったために起こったトラブルでした。

ところが管理会社の怠慢だと思いますが「下の階から役員に就任する」「1番館から役員に就任する」なんて安易な決め方をしている管理組合さんを見かけます。

多くの組合員さんは初めてマンションを購入した人ばかりなので、このような安易な決め方が良いのか、悪いのかの判断は出来ません。

しかし一旦この安易な役員就任方法で進んでしまったら、一通り順番が終わらない限り、デリートできません。不公平になっちゃうからです。

棟ごとや階層ごとにゾーン分けしてどの層からもまんべんなく役員さんが就任できるような工夫が必要です。

輪番制で役員に就任するっていう方法にはメリットとデメリットとがあります。

メリットは、誰もが一度は役員さんになるので理事会の運営や議案の作成など管理組合の意思がどのように決まっていくのかを体験できることです。

理事会活動を通して役員さん同士が顔馴染みになるってこともあります。

反対にデメリットとすれば、全くやる気のない方に理事会運営を任せていいのか?1度も理事会に出席しないまま、1年経過して“お役御免”で良いのか?等です。

また、本当に意欲のある方の立候補を妨げているのでは?って懸念もあります。

総会の時期です。より良いマンションライフのために今年度役員さんはもうひと踏ん張りです。