マンション管理士の独り言・・・1183

マンション管理士の独り言・・・1183

「総会を開催しない方法」

5月6月はマンション管理組合の通常総会ラッシュの時期です。

コロナ禍に多くの組合員が集まる総会を開催することに躊躇する組合さんも多いようです。国交省も昨年3月に総会開催について、規約に「年度終了後2か月以内に総会を開催する」と規定されていても延期することも構わないとの指針を発表していました。

ところがコロナが終息する気配がなく、何時までも総会を開催しないわけにはいかなくなっています。

このため多くの管理組合では総会を開催するにはするけれども、“出来るだけ参加は控えてもらって書面で議決権を行使してもらう”“参加の場合であっても熱のある人は遠慮してもらう”“ソーシャルディスタンスを確保する”などの予防策を講じながら総会を開催しています。

役員さんからは“こんな回りくどいやり方でなく初めから人が集まる総会を開催せずに、書面だけで議決権を行使できないのか?”というご質問をいただきます。

或いは、“規約を「総会を開催せずに書面で議決権を行使する方式とすることも出来る」と改正することは出来ないのか”ってご質問もあります。

残念ながら、これは出来ないとなっちゃいます。

管理規約のベースとなる法律は区分所有法ですがその第45条第1項に「区分所有者全員の承諾あるときは書面または電磁的方法による決議をすることができる」と規定されており、“区分所有者の全員が皆が集まる総会方式でなく、書面での議決権行使でいいよ”と言った場合にのみ総会方式でなく書面決議法式を認めているのです。

要するに総会を開催しないことについて区分所有者全員の合意が必要なのです。

全員の合意というとっても高いハードルがあり、現実的には不可能です。

これは区分所有法が、第34条第2項で「管理者は少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない」と規定しているからで、つまり集会主義なのです。

区分所有法が最初に出来た当時(昭和37年)にも最後に改正された平成17年にも皆が集まることが出来なくなるコロナ禍などは全く想定されていません。

“共用部分は区分所有者全員の共有物だから最低でも年に1回は集まって管理方法など皆で話し合って決めようよ”って考えが根底にあります。

「コロナ禍、今年度の総会は集まることをせずに書面でのみ議決権を行使することとします」は基本的にアウトです。

「参加されずに出来るだけ書面での議決権行使をお願いします。また熱のある方のご参加はお控えください。」くらいが限度です。

総会を開催したが、実参加者は少なく、ほとんどが書面で議決権行使となった、という組合さんが多いのではないでしょうか。

当然ですが、参加せずに文章でその議案についての賛否を判断するのですから、読んだだけで理解できるような内容が詰まった議案にすることを心掛けなければなりません。

しかし、重要なものは議案化しづらく次年度へ先延ばしとなるケースが多いようです。

こんな時こそ、管理会社やマンション管理士などの裏方の腕の見せ所です。

“コロナ禍だから理事会や総会を開催しなくて助かる~”なんて能天気なこと言ってる管理会社などは即刻「首」です。

理事会や総会への参加者が少なくても管理組合活動が滞ることなく、また意思決定がスムーズに進むような知恵と工夫が求められます。