マンション管理士の独り言・・・1184

マンション管理士の独り言・・・1184

「タイルは落ちる」

モノレールの駅舎や橋脚の補修作業が行われています。

つぶやき主の朝の散歩コースにもモノレール駅舎があります。

駅舎への出入り口の地面から1mくらいのところには橙色のタイルが貼られています。

このタイルが多数剥落しています。

タイルは重量もあり落ちたら危険なので剥離が見られるとわざと掻き落とします。

それで所々タイルが貼られていなくてコンクリートむき出し部分がありまだら模様になっています。剥いではないものの、樹脂注入が必要なタイルにはチョークでマーキングしています。無残な光景です。

このタイルは深目地仕上げになっています。

深目地というのは、タイルを貼った個所を真正面から見てタイルとタイルの間の目地が、奥深くに見える仕上げのことをいいます。

通常は浅目地といってタイルの厚み分目地を塗り込む仕上げでタイルとタイルの間に凹凸がない仕上げとします。

深目地の方がタイルの印影がクッキリとし豪華に見えます。

しかし隣のタイルと目地で連結していないので、スクラムを組む状態になっておらず剥離しやすいという短所があります。

これに対し浅目地は平面的な素っ気ない仕上げとなりますが、タイル同士が連結されることでスクラム状態となり、深目地に比べ剥離しにくいという長所があります。

モノレール駅舎は、深目地仕上げです。見栄え重視です。

このためアチコチでタイルが剥落しているというのが現在の様子です。

モノレールに乗ってみれば分かりますが、駅舎にモノレールが到着する度、発車する度に大きく揺れます。この揺れはタイル環境には最悪です。

当初設計した人もタイルが剥落するのが分かっていたのでしょう、タイルを貼っている部分は地面から1m以内の場所に限られています。

1mの高さならば落ちても安心ってことでしょう。

でも、落ちることが想定されているのならば塗装や他の仕上げもあったのに、なんて思ってしまいます。

マンションなど建物でも同様です。モノレール駅舎ほどではないにしても、建物には小さな揺れが生じています。地震はその最たるものですが、普段でも車両通行による振動、風雨など外壁は過酷な環境にさらされています。タイルは落ちるのです。

竣工後15年くらいに行われる大規模修繕工事時には、全体タイルの5~10%を貼りかえるということが行われます。

当初の施工が悪かったり、交通量が多かったり、海に近い場所だったりすると15%を超えるケースもあります。

もしタイルが落ちて運悪く下を通っていた人にケガをさせた場合は、日ごろのメンテナンスが十分であり、落ち度(過失)がないとしても無過失責任なので、管理組合に責任が及びます。

そのために管理組合は共用部保険を付保しているって人がいますが、これは誤りです。

ケガをされた方が障害を負い後遺症が出た場合など金銭で解決できるものではありません。

タイルは落ちるものとして定期的な検査が必要です。