マンション管理士の独り言・・・1187

マンション管理士の独り言・・・1187

「手直しの迅速性」

市内での大型マンションの2年点検が目白押しです。

竣工後2年となり瑕疵担保期間やアフターサービス期間が切れるからです。

専有部分については、お住いの方しか不具合が分かりませんので、アンケート用紙に不具合ヵ所を書いてもらって、そこを補修するってことになります。

アンケートに何も書いていない方へは何も行われません。

このアンケートに記載した不具合について、職人さんが来ればチャッチャと30分で直せるようなほんの少しのものが却って時間がかかる傾向があります。

アンケート主からすれば、“来てくれれば30分もかからず手直しできるのに”って内容のものがエラく長い時間がかかったりします。

確かに職人さんが来れば30分で終わる仕事なのですが、職人さんも現在工事している現場を離れてわざわざ手直しに来ることになります。

往復時間もありますし、1件30分のためにわざわざ今の現場を離れることはしません。

1件30分の手直しが10件くらいのまとまった数になれば、1日仕事になります。

そうなって初めて今の現場を離れて手直しに来る、ってことになります。

この辺りはアフター担当者がキチンと説明していないと、クレームに発展します。

一般の方からすれば“来てくれれば30分で終わる手直し工事なのに、何日かかってるの?”って言うのが普通の反応です。

小さな工事だからこそ、まとまった数にならないと職人さんは来ないってことをシッカリ説明しないといけません。

入居後の手直し工事は大変です。入室しての手直しになりますから在宅してもらわなきゃ、いけません。職人さんが働くのは平日の昼間が大勢です。土曜日の施工には応じてくれても日曜日は基本的に無理です。入居者との時間調整が大変です。

1日で一職種で治るのならいいのですが建具屋さん・大工さん・クロス屋さんなど数職種になる場合には入居者との調整はとても大変になります。

またバルコニーの塗装の剥げなどの塗料を使用しなくてはならない工事になると家具や廊下を汚したらいけないので、養生手間が大変です。

2年点検やアフターサービスを施工会社任せにしている売主さんや管理会社さんが多いので、これもクレームの種になります。

施工会社との間でアフターの段取りがスムーズにいっていないことを、入居者からのクレームで初めて知ったという担当者は、電話口で“担当者なのに何も知らないっていうのは、どうなの”って怒られちゃいます。

これは売主さんへのアドバイスですが、購入者を相手方とした売買の直接の当事者は売主さんです。施工会社ではありません。施工会社は入居者が決めたのではなく、売主さんが決めているのです。施工会社と購入者との間には直接的な法律関係は存在しません。

それなのにアフターサービスを施工会社さんへ“丸々全部お任せね”はいけません。

売主さんは売買契約の一方の当事者として、責任持った対応が必要です。