マンション管理士の独り言・・・1188

マンション管理士の独り言・・・1188

「ルーフバルコニー」

道路斜線の影響等で下の階の屋上を利用したルーフバルコニーが造られることがあります。

1棟のマンションで、多くても3住戸、少なければ1住戸くらいにルーフバルコニーが設置されているようです。

特殊住戸と言って数が少ないので高めの販売価格が設定されていますが、早期に売れる傾向にあります。

このルーフバルコニーは、共用部分ですが、その住戸の方の専用使用部分という扱いです。

共用部分であり専用使用部分なのでその維持管理は管理組合の責任と負担で行うことになります。管理組合がルーフバルコニーの維持管理を行わなくてはなりません。

その一方で、ルーフバルコニーがあることによる割高な販売価格の利益は売主さんに入ります。

管理組合には、ルーフバルコニーの面積にもよりますが、月額1,000円~2,000円程度の使用料が入金されるだけです。

ルーフバルコニー使用料を徴収しだしたのはここ20年くらい前からで、それ以前のマンションでは使用料を徴収していない場合がほとんどです。

ルーフバルコニーの維持管理にはお金がかかります。特に大規模修繕工事時の防水補修工事では多額のお金が必要です。

小倉北区のマンションではルーフバルコニーが2つで合計200㎡。この防水補修工事費用は240万円かかりました。(ウレタン被せ・絶縁工法)

しかもこのマンションではルーフバルコニー使用料は徴収していません。

ルーフバルコニーがあることでその分高く売れて売主さんはハッピーなのでしょうが、管理組合にすれば、使用料収入は一円も入らず、共用部分として管理しなくちゃならないという責任だけを負わされているという状況です。

屋上防水補修時だけではありません。仮に階下へ漏水したら管理組合が対応しなきゃなりませんし、また竪管の不都合だって発生します。

ルーフバルコニー付き住戸を買われた方にはヒンシュクを買うかもしれませんが、申し訳ないけど管理組合にとって負の設備です。

ルーフバルコニー使用料を月額2,000円徴収していたって、年間で24,000円、15年目の大規模修繕工事時には360,000円しか貯まっておらず、とても防水補修費用には追い付きません。

1階住戸には専用庭があるマンションも見かけます。この専用庭もルーフバルコニーと同じく”共用部分の専用使用部分”という扱いとなり、管理組合がその維持管理を行います。

しかし専用庭はルーフバルコニーと違って、防水補修をはじめとするメンテナンス費用がかかりませんので管理組合からすればウェルカムな設備です。

専用庭の生垣のメンテ費用負担に関してはその住戸使用者と管理組合とで話し合う必要があるかも、くらいです。

売主さんは利益になっていいのでしょうが、管理組合には負担になるっていう設備・仕様が多いのが気になります。

そんなこと考えたこともないでしょう。売主さん。

あとは管理組合さん、管理会社さんお願いねって感じでしょうか。