マンション管理士の独り言・・・1191

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「上下階の騒音トラブル」

前回、少しだけつぶやきましたが、上下階の騒音についてです。

つぶやき主には色んなマンションライフに関するご相談がありますが、騒音に関するご相談は最近特に数も割合も増えているような気がします。

市内マンションの騒音に対する遮音性能は、LL45、LH50というのが相場です。

市内マンションのほとんどは在来スラブ20㎝、若しくは中が中空になったボイドスラブ25~27、5㎝ですから、そうなっちゃいます。

しかし、実際に竣工後上下階の騒音指数を計測していないマンションでは、本当にその遮音性能が確保されているのかどうかは定かではありません。

LL(ラウドネス・ライト)というのは軽量衝撃音で、床にスプーンを落としたときの様な軽い騒音です。

LH(ラウドネス・ヘヴィー)は重量衝撃音で、子供が床で飛び跳ねるような重い騒音を指します。

45と50という数値ですが、数字が小さい方が遮音性能が優れています。

騒音発生源のdb(デシベル)は、大きい数字の方が大きい音を指すのと反対の指標になっています。

LL45は日本建築学会発表の特級の遮音性能です。LH50は、同じく1級程度の遮音性能と言われています。客観的には、上階のスリッパの音は聞こえないが、サンダルの音は聞こえちゃうよ、ってものです。

マンション上下階でトラブルになる騒音は、重量衝撃音が圧倒的に多いです。

つまり、子どもの飛び跳ね音。“お宅の躾はどうなってるの?”って感じです。

コンクリートの遮音性能に関しては、厚さ10センチのコンクリートの透過損失は45dbと言われています。

100dbで入ってきた騒音が厚み10㎝のコンクリート壁に隔てられると反対側には55bdになって到達する、というもので10㎝コンクリートで45dbが失われる(透過損失)こととなります。

しかし、騒音は様々な要因で聞こえるもので、コンクリートの厚みだけが主要因なのではありません。

柱と柱を繋げる梁の間隔にも影響されます。梁間が6mと8mとでは同じ床コンクリート厚でも、6mの方がたわみが少ないので遮音性能は優れています。

“南面8mワイドバルコニーで、陽が燦々と差し込みます”なんてのをセールストークにしているのを見かけます。

確かに南面が大きく解放され広々サッシュで明るく気持ちいいのですが、階下への遮音性能は劣っちゃいます。

また、床の素材も大きく関係してきます。

同じ厚みのコンクリートでも階下への遮音性能が一番優れているのは畳、次にジュータンやカーペット、一番劣るのが木製フロアー材です。

ダニなどの関係もあり、最近ではリビング床材をジュータン仕上げにしているマンションなんてありません。どのマンションでも全てフロアー貼りです。

フロアー貼りであっても、アクセントラグでも敷き詰めれば多少は階下への遮音になるのですが、最近はリビングに床暖房を施しているマンションも多く、ラグなんて敷いたりしません。

“上階がリビング横の和室を洋間に変えた途端にうるさくなっちゃった”ということの原因は畳からフロアー材への変更です。

しかもマンションリフォームで一番需要が多いのが、この和室→洋間にしてリビング広げるですから嫌になります。

一息ではつぶやけません。続きはまたいつか・・・。