マンション管理士の独り言・・・1192

マンション管理士の独り言・・・1192

「騒音トラブル・・・その2」

音の伝わり方には2種類あります。

つぶやき主のよく通るバリトンの声は、聞く人へ空気を伝わって届きますので、空気伝播音です。もう一つは物(固体)を通して伝わる音で固体伝播音というものです。

分譲マンションの床・壁の造り方は、以前は「床勝ち」「壁勝ち」と言って床と壁をどちらが先に作るかがありました。後で造る方は、それなりに仕上げをキレイにしなくてはならず手間がかかっていたものです。

最近はシステム床を採用しています。床を壁にくっ付けずに自立させ、壁との取り合い部分をホンの数mmあけて、その隙間を巾木で隠す(仕上げる)という作り方をします。

壁と床とがくっ付いていないため固体伝播音の低減につながります。

騒音を低減させようとする工夫ですが、やはり床コンクリートを厚くすることには敵いません。

また、置床が必ずしも上階からの騒音低減に優れているかというと、それも定かではないようです。

置床の場合は、タイコ現象で床とコンクリートスラブの間の空気の層が音を響かせる原因になるということは以前より言われています。

10年くらい前は、日鉄興和不動産さんも積水ハウスさん、大英産業さんも置床でなく直貼りという工法を採用していました。

コンクリートスラブの上に卓球ラケットに貼っているラバーのようなスポンジ系のものを貼った床材を直接貼るという工法でした。

これだと貼られた床材が波打つようになってしまい仕上げはキレイではありませんでした。そこでセルフレベリング工法といって床に液状の接着剤を撒く、(液体なのでレベルが確保出来て平滑になる)というものも開発されました。

直貼りのセールストークは、ズバリ“上階の音が聞こえにくい”でした。

置床の場合は、床材とコンクリートスラブとの12㎝~25㎝の空間に、勾配をとって排水管などを敷設できます。

廊下や水回りドアに段差が付かないというメリットもあります。

直貼りの場合は、洗面所やトイレの入り口にコンパネで10㎝程度の段差をつけてそこに配管を敷設しますので、どうしてもバリアフリーとはなりません。

騒音はそれを聞く人の敏感さや以前どこに住んでいたかによっても異なって来ます。

今まで上階の足音なんて経験したことない人、例えば以前戸建て平屋に住んでいた人などは、上階からのホンの少しの足音も敏感に聞こえるようです。

また、2階建ての戸建て住宅に住んでいたという方は、2階に住むのは自分の子供ですから、騒音は全く気になりません。

夜遅くまで音が聞こえていたら、“何時まで起きてる!早く寝ろ”で済みます。

ところが会話の全くない上階のお子さんの飛び跳ね音は気になって仕方ありません。

反対に、安い木造アパートの1階に住んでいた人などは、他の人がウルサイと感じる騒音であっても、“今までよりずっ~とマシだ。こんな音全く気にならない”って感じです。

小さなお子様がいるご家庭では、1階の専用庭付き住戸や下の階がないピロティやエントランスの直上階の住戸を選ぶって人もいました。

コンクリートスラブ厚、床の工法、以前の住まい、人間関係、耳が過敏になっている、などいろんな要素があって上下階の騒音トラブルは厄介です。 取り扱いを失敗すると、ガチャガチャなマンションライフになってしまいます。