マンション管理士の独り言・・・1197
「連立方程式の規約改正」
2月に事故にあいまして、しばらく通院していました。
犬の散歩中にいきなり車に当てられちゃいました。当たった衝撃で加害車両のサイドミラーが10m近く吹っ飛んだような事故でしたが、頑強なつぶやき主は倒れることもなく、打撲で済みました。
運転手の前方不注意の様です
歩いていただけなのでつぶやき主の過失はゼロで、加害者加入の保険で通院費などすべて賄えました。
保険会社の担当者は、女性でまだお若い方の様です。
加害者側の立場なので、つぶやき主の様な被害者には平身低頭でお話しされます。
ご本人が事故を起こしたわけではないのですが職務上、下手、下手でお話しされます。
大変なお仕事です。
でも考え方によっては、被害者といったって相手にするのは一人だけです。
色んな考え方のいる管理組合の合意形成に比べるとそんなに難しくないのかもしれません。
1階に店舗があり、その上に角のように2本の建物が建っています。
一つは賃貸マンションで、もう一つは分譲マンションです。
賃貸マンションは総戸数10戸で地方にお住いの方がオーナーです。
厄介なことに10戸の賃貸マンションは区分所有となっています。
今はオーナーが10戸すべてを所有していますが、10戸別々に売却することが可能です。
分譲マンションの方は、30戸です。
いい加減な売主だったのか、或いは区分所有法を理解していなかったのか、一部共用部分を設定していません。さらに、管理費などは専有面積割合で負担するとなっています。
エレベーターは分譲マンション部分にしかありません。当然ですが1階店舗や賃貸マンション居住者はエレベーターなんて使用しません。
しかし、一部共用部分が設定されていませんので、管理規約通りに扱うと店舗や賃貸マンション部もエレベーターメンテナンスが含まれている管理費を負担することになってしまいます。
流石にこれはオカシイと思ったのか管理規約を改正しないまま、3者の話し合いで負担割合を変えていました。
また規約によれば議決権も専有面積割合になっていますが、もう長いこと店舗部には1票、賃貸マンション部にはその1票さえも与えられていません。
店舗は勝手にマンション敷地の空地を来店者用の自転車置き場にしているし、庇をデコレーションしているし、など好き勝手にやっています。
分譲部にお住いの方も、管理組合の誰かが承諾したのかな、って程度の認識です。
賃貸部オーナーが、10戸のうちの数戸を売却したいと申し出があり、管理会社はテンヤワンヤです。
大規模修繕工事のコンサルをやったこともあり、つぶやき主に“何とかしてほしい”というご依頼です。
現況をあまり変えることなく、管理規約の改正です。一部共用部分を設定し、店舗・賃貸部・分譲部それぞれと打ち合わせです。
3者から見ると、負担が増えたりして決して100点満点の改正案ではありませんが、現状に即した、今よりも随分マシな改正案です。
分譲部と賃貸部からは合意を得られましたが店舗部が首を縦に振りません。
店舗部は「商売」なので分譲部などと異なり損得が判断基準です。
自己の利益を最大限挿入しようとします。そこにリーガルチェックとか言って、区分所有法や実際の管理実務が分かっていない頭でっかちの弁護士が“ああしろ、こうしろ”ってピーチクパーチクです。
規約改正できないならば、現行の管理規約のままです。3者にとってそれは一番避けなければならない結論ですが、このままでいくとそうなりそうです。
住居だけの分譲マンションでさえ合意形成は厄介なのに、これに賃貸や店舗が加わると連立方程式となって解が見つけられません。